IT業界じゃない起業でもITは必要
最近、ちょっとしたシステム開発のご相談を受けることが多いです。
同業者からの案件相談というのは、今までも色々お受けしたり、また私からお願いすることもあるのですが、そうではなくて別の業界の方からなんですね。
私も講師の一員である、Tech Garden Schoolでは起業を目指している方にプログラミングを教えたりしているので、つい、起業というとIT業界で起業だ!と思いがちなのですが、起業というのは当然にIT業界に限定された話ではなくて、何かのリアルの世界でのサービスだったり、お店を立ち上げたりなど、色々あります。
IT業界以外での起業といっても、何かでITを使うということは必須になる世の中。
必ず出てくるのはWebサイトなのですが、それ以外にも、人を雇って業務フローが必要となるようなビジネスになると、業務システムが欲しくなります。
エンジニアは人手不足
ただ、業務システムの構築という話になると、業務フローやシステム要件の整理といったコンサルティングは私の方で出来るとしても、いざ開発となった時のエンジニアの確保が難しいのが現状です。
そもそも弊社は私1人でやっている会社ですから、他社の助けを請わなければなりません。ただ、IT・SI業界のエンジニア需給状況は昨今逼迫しており、人手の確保は容易とは言えません。
最近流行のクラウドソーシングを使うというのも手かもしれません。
クラウドソーシングには、個人はもちろん、地方の中小SI企業も参入していたりするので、ある程度の規模までなら、受注者が現れる可能性があります。
それも、いつかは取り組まないといけないのかもしれません。こちらに書いたような、日本ニアショア開発推進機構の取り組みもあります。
私1人で対応可能な範囲を広げるという方法もあります。もちろん、それは土日返上、寝る時間も削って長時間働くという意味ではなく、新しい技術の力を使って開発作業をよりイージーにするという意味です。
Paas型クラウドを使ってみる
いま、注目しているのはサイボウズのkintoneと、SalesforceのForce.com。
PaaS型のクラウドサービスの2大巨頭と言って良いと思います(kintoneはまだ日本限定といった感じですが)。
どちらも、Webベース・クラウドベースのMicrosoft Accessといった感じで、カスタムデータベース(テーブル)を作って、それに合わせたフォーム(画面)を作り、入力規則やデータのルックアップ、さらにはワークフローの仕組みも実現出来るというものです。プログラム言語を使って、さらにカスタマイズしていくことも可能です(さながらAccessのマクロですね)。
Accessっぽいと言っても、そこはクラウドですから、データはデータセンター(クラウド)に置かれますし、Webブラウザからはもちろん、スマートフォン用のアプリからもアクセス出来るようになっています。
面白いのは、kintoneもForce.comも、1件1件のデータ毎にコメントやチャットといったSNS風の機能を使えるようにしていて、協同作業をやりやすくしていることです。その辺はトレンドをよく捉えていると思います。
kintoneとForce.comを比べると
kintoneとForce.comを比べると、機能の豊富さはForce.comに軍配が上がります。ただ、機能が豊富な分だけ開発は複雑になってしまうので、kintoneで実現可能なことならkintoneでやってしまいたいところ。kintoneはとにかく手軽です。Force.comと比べると後発だけあって、ユーザインタフェースは洗練されています。
また、クラウドサービスなのでユーザ毎の毎月の使用料金がかかるのですが、kintoneは1ユーザ・月額780円から、Force.comは3,000円からと差があります。よりスタンダードなプランなら、kintoneは1,500円、Force.comは10,000円と大差になるので、やはりkintoneで出来ることならkintoneでやるべきです。
と、なると、kintoneで出来ることって何なのか。それをきちんと把握することが、kintoneとForce.comのどちらを使うかの分水嶺になります。その辺は、また別の記事で整理することにします。
ただ、「納品のない受託開発」を掲げる株式会社ソニックガーデンがkintoneを採用したサービスを開始したり、株式会社ジョイゾーは39万円のkintoneを使ったシステム構築サービスを行ったりしているので、それなりには出来るのではないかと思います。
何をシステム化するかにこそ焦点を当てる
今後はITコーディネータとして(来年5月くらいに資格を取って認定されてから)、IT利活用のコンサルティングサービスを主軸に据えつつ、PaaS型クラウド(特にkintoneくらい)で実現可能なことは実装まで請け負う。PaaS型クラウドでもある程度の規模(Force.comが必要になるケース)になったり、スクラッチ(独自)開発が必要なケースは他社の協力を仰ぐといった形で、お仕事を整理できたらなぁと考えが広がります。
重要なのは、システムをどう作るかではなく、何をシステム化するかです。
開発技術についてはどんどん進んでいきますからその恩恵に浴しつつ、ビジネスのより本質的なところで高い付加価値を提供するにはどうすれば良いか、今後も考えを巡らせていきたいと思います。