ITコーディネータのプレ研修を受けて、IT+経営を極めたいエンジニアに勧めたいと思った理由

12月20日、21日の2日間、ITコーディネータのプレ研修を受講してきました。
2日間の受講が終わった後、Facebookに下記のような感想を書きました。

2日間ののITコーディネータプレ研修が終わりました。実際の研修は来年からで、上手く行けば来年5月くらいにはITコーディネータと名乗れるようになっていると思うのですが、俺はエンジニアだと思っている人も経営系に乗り出したいと思っている人は、ITコーディネータになってみる価値はあると思うよ。ウォーターフォール的だし古いと思うかもしれないけど、経営系の基本的なところは押さえているし、ケース研修の主催機関を選べば、比較的新しいメソッドも取り入れてやっている。

そう思った理由について、もう少し書いてみようと思います。

どんな研修だったのか

私が受講しているのは、ITC-METROというところのケース研修です。ITコーディネータになるためには試験の合格と、ケース研修の受講の両方が必要なのですが、ケース研修の実施機関はいろいろあります。他のところは知らないので、何とも言えないのですが、私が受講しているのは、おそらく日本最大の実施機関と思われる日経ITCプロジェクト・ITC-METROです。

プレ研修というのは、実際のケース研修の前に行われる2日間の研修で、1日目はデザイン思考のワークショップ、2日目は6日間行われるケース研修の準備編といえる内容の講義でした。
プレ研修の実施は完全にITC-METRO独自のものなので、実施機関の思いが色濃く反映されているのではないかと思います。

「デザイン思考」は、最近いろいろと取り組まれている方法論で、ゼロベースで「顧客価値」について考えるものです。研修では、粘土や折り紙を使ってアイディアを形にしてみたり、主人公になりきって寸劇をやってみたりしました。
デザイン思考は、ITコーディネータにとって命の次に重要といえる「プロセスガイドライン」のどこをひっくり返しても出てこない方法論なのですが、プロセスガイドラインに心を通わせるためには重要な新しいメソッドということで、取り入れられたのだと思います。

ちなみに、最近は、ITコーディネータ協会もイノベーションの重要性を強調していて、イノベーションガイドラインの制定をしたりもしています(私も、その説明会に参加してきました)。
デザイン思考は、そのベースとなっているので、ITコーディネータ協会の想いを率先して取り入れた研修といえそうですね。

こうした、新しい方法論が研修に取り入れられ、体験することが出来るというのは、ケース研修の実施機関次第なのでしょうが、ITコーディネータ資格を取得するメリットではないかと思います。

デザイン思考については、もう少し勉強してから、このブログに書いてみたいと思います。

経営系の基本的なところが押さえられている

なぜ、経営系の基本的なところが押さえられていると思ったか、という理由。
それをMBAでもない私が言えるのは、産業能率大学の通信教育課程で、まさに今、経営を学んでいるからです。

産業能率大学はそれほど有名な大学ではありません。
でも、教授や講師の多くは実業の経験者で、産業能率大学自体がコンサルティングをやったり、社会人向けの研修事業をやっているので、実際のビジネスに非常に近いところにある大学です。創立者の上野陽一氏は、日本で最初の経営コンサルタントと言われています。今ではあちこちの大学で設けられている「経営情報学部」を設けた最初の大学でもあります。(現在は産業能率大学には経営情報学部はありません。経営学部と、経営情報学部の後進である情報マネジメント学部の2学部制になっています。)

その産業能率大学には、同大学院での学習にも連なるSBCP(Structured Business Core Program)という、経営の基本をまとめた学習プログラムがあります。通信教育課程でも、経営系の科目はSBCPをベースにした学習になります。また、私が受講しているコースは中小企業診断士の科目に則ったものになっています。

そのような課程で、経営について学ぶ際に出てくる、基本的な内容、方法論が、ITコーディネータ・プロセスガイドラインでは忠実に押さえられています。
SWOT分析、PEST分析、ポーターのファイブフォース理論、バランススコアカードなど、枚挙に暇がありません。
大学での経営の学習と並行してみると、ITコーディネータ・プロセスガイドラインの作りがしっかりしていることを、強く感じるのです。

そんなわけで…

私が実際のケース研修を受けたり、ITコーディネータの試験を受けるのは来年のことで、ちゃんとITコーディネータと名乗れるようになるのは、来年5月以降だと思うのですが、今のところは冒頭に書いたように経営のことも知りたいエンジニアには価値のある資格であり、学習だと思うのです。
本当にそうなのかは、学習が進むにつれ、引き続き書いていきます。

あと、少なくとも同じ方向を目指した仲間が出来るのは、資格自体はどうあれメリットがあります。
いろいろなコミュニティとか勉強会に出れば、技術的な意味での同志は出来やすいと思うのですが、「ITと経営」の接点を極めていくという視点では、ITコーディネータのコミュニティというのは、特筆すべきものではないかと思います。

この記事を書いた人

井上 研一

株式会社ビビンコ代表取締役、ITエンジニア/経済産業省推進資格ITコーディネータ。AI・IoTに強いITコーディネータとして活動。画像認識モデルを活用したアプリや、生成AIを業務に組み込むためのサービス「Gen2Go」の開発などを行っている。近著に「使ってわかった AWSのAI」、「ワトソンで体感する人工知能」。日本全国でセミナー・研修講師としての登壇も多数。