地道にやって、アピールしておく。そのうち日の目を見る

昨日は、START INNOVATION with this visual toolkitという本の著者来日イベントに行っていました。

これからイノベーションを起こそうという人にはうってつけの本で、イノベーションを起こすためのプロセスがきちんと書いてあるのが良いですね。

著者のハイスさんの講演は、示唆に富んでいたし、何よりオーディエンスを楽しませようという気持ちに溢れていました。英語の逐次通訳という形で進んだので、うまく理解できないところもあったのですが、参考になることはたくさんありました。
それはまた、別の機会に書きます。

イノベーションを巻き起こすような仕事をしたい

ハイス氏の講演後にパネルディスカッションがありました。そこでのディスカッションが、自分の経験を踏まえてもそのとおりだな!と思ったので、それについて書こうと思います。

イノベーションを巻き起こすような仕事がしたいが、社内の状況がそういう感じじゃないと。どうすれば良いか?という質問が出ました。そういう境遇の方、多いと思うんですね。

ハイスさんは耐えて頑張れと言った

著者のハイスさんは、本の中でも、今日の講演でも、イノベーションが必要なタイミングがあると言っています。だから、質問者の所属する会社がそのタイミングでないなら、転職するのが良いという回答。

イノベーションを起こすには耐えて頑張るしかない。イノベーションを起こしやすくするためのプロセスは整理してあるけど、最後はリスクを取る覚悟だと、イベントの最後で語っていました。

小山さんは地道にやれと言った

イベントの共催、ハイス氏の講演の逐次通訳も行った小山龍介さんは、ご自身の経験から回答されました。

まず勉強会を開く。そこに手を上げる人から、やる気のある人を見つける。所属が大企業なら、その看板で著名人を勉強会に呼べるかもしれない。勉強会を開いたら、レポートにまとめて、社内のしかるべき人に渡しておく。

こういう地道なことをやっておくと、いずれイノベーションが必要なタイミングになったときに、自分が思い出され、「あいつにやらせてみよう」という話になるというわけです。

日本企業でもやりやすそうなマイルドな手法だと思います。

私の経験

私の経験ですし、特にイノベーションでもないので恐縮なのですが、チャンスをつかむという話にはなると思って、話を続けます。

私が最初に入った会社での経験です。新卒で入社して6年ほど勤めました。当時は社員が1,000人くらいのシステムインテグレーション企業で、その中でシステム開発部門は350人くらいかな。そういう会社でのことです。

私が5年目になったときから、社内標準のシステム開発基盤を作るチームのリーダーになりました。こういうチームが出来るのは会社としてはほぼ初めてのことだったと思います。その初代リーダーになったんですね。

まず、地道にやる

私は入社して半年くらいで子会社に出向になりました。そこでは、親会社ではとてもやらないようなチャレンジングな仕事をやっていました。

出向になってからすぐに、外資系のベンチャー企業でのプロジェクトに参画しました。
StrutsのようなJavaのフレームワークを製品として持っていました。
なにしろ2001年くらいの話です。そもそもStrutsを知ってる日本人が何人いたんだろう?という頃ですね。

そのベンチャー企業にはエンジニアは私以外の誰もいません。
1年半くらい、とにかく勉強して頑張りました。一技術者ではありますが、プレゼンもたくさんやったし、その製品を採用いただいたプロジェクトでベンダー側のリーダーもやったし、幕張メッセでやった展示会の出展もやった。とにかく、いろいろな経験もさせてもらったのです。

出向が終わって、親会社に戻った時、あまりに環境が違うことに驚きました。JavaでのWeb開発を請け負ったこともないし、フレームワークの「フ」の字も知らない。これはマズイぞと思いました。子会社にいる時にオブジェクト指向の研修を受けさせてもらって非常に役に立ったし、感銘を受けるほどだったのですが、やっぱりオブジェクト指向の「オ」もない。

それが分かってから、またひたすら勉強しました。社内でフレームワークを使った開発を普通にする。オブジェクト指向を使った設計・開発も普通にする。そのために、勉強して、周囲のエンジニアにも話をして、自分の中でプランを練り上げるということを2年くらいやっていたと思う。もちろん、普段の仕事もしながら。

アピールすることが大切

当時の仕事は、技術営業に行ったりしていたし、普通の開発プロジェクトでは、プロジェクトの冒頭から乗り込んでいくタイプのポジションでした。だから、部長・課長レベルくらいの方とご一緒することが多かったのです。それも、自分の直属以外の方とも。それに、親会社の専務は、子会社の社長だったので、顔を覚えてもらっていました。

そんな幸いがあって、とにかく、そういう上役の方に会うたびに、自分の考えをぶつけていたのです。飲みに行った時とか、電車に乗って一緒に帰っている時とか。とにかく、アピール、アピール、アピール。

そういう活動を3年くらいした後で、ついにやるぞ!ということになって、社内に専任のグループが出来て、そのリーダーに私が任命されたわけです。

始めなければ、始まらない

この経験は、小山さんが回答に非常に似ているなと思いました。

小さなものを含めると、会社の中でのそういう経験はいくつかあります。

会社以外の活動でもあります。勉強する、ブログに書く、ブログが読まれる、何かのイベントやグループに呼ばれるといったことです。これも、何回かそういう経験をしています。

まずは始めないといけない。始めなければ、始まらないのです。そして、始めたことはアピールする。それは、社内の上役や同僚、社外ならブログが最も簡単ですね。

だから、何かやりたいなーと思っている人は、とにかく始める。始めて、それをアピールするのです。
それでいつもうまくいくわけじゃないし、うまくいくとしてもそのタイミングすぐには訪れない。タイミングでないときには、地道にやるしかありません。

私が言うのもおこがましいかもしれませんが、そんな私でもいくつかは出来たのですから、何かやりたいと思っている人には是非頑張って欲しいと思います。

ログミーのこの記事も興味深いです。

この記事を書いた人

井上 研一

株式会社ビビンコ代表取締役、ITエンジニア/経済産業省推進資格ITコーディネータ。AI・IoTに強いITコーディネータとして活動。画像認識モデルを活用したアプリや、生成AIを業務に組み込むためのサービス「Gen2Go」の開発などを行っている。近著に「使ってわかった AWSのAI」、「ワトソンで体感する人工知能」。日本全国でセミナー・研修講師としての登壇も多数。