IoT(Internet of Things:モノのインターネット)、3Dプリンター、クラウド・コンピューティング、自律走行車など、様々な技術が登場しています。
特にITの世界では、多くの技術が最初はバズワードといわれて登場し、そのまま消えていくものもあり、しぶとく生き残って汎用技術化するものもあります。
ちなみに「バズワード」の定義をWikipediaで見てみると、このようになっています。
バズワード(英: buzzword)とは、一見、説得力があるように見えるが、具体性がなく明確な合意や定義のないキーワードのことである。ただし、「バズワード」という用語自体の定義が曖昧なので、「バズワード自体がバズワードである」とする説もある。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%90%E3%82%BA%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%83%89
ハイプ・サイクル
新たに登場した技術を目前としたとき、その技術をどのように評価すれば良いでしょうか。バズワードなのか、そうでないのか。
「ハイプ」とは「誇大な宣伝」という意味であり、その技術がハイプ・サイクルのどの状態にあるかを検討することで、ハイプなのか、その時期を過ぎているのかを判断することが出来るというわけです。
IoTはハイプ・サイクルのどこにある?
日本経済新聞の2015年7月9日朝刊で、坂村健氏がハイプ・サイクルを用いてIoTを論じています(「IoTの可能性と課題(上)」)。
この記事では、ガートナーのレポート(2014年8月)を引用して、最近よく聞く技術を下記のように分類しています。
- 音声認識:生産性の安定期
- 3Dスキャナー:啓蒙活動期
- クラウド・コンピューティング:幻滅期
- IoT:「過度な期待」のピーク期
- 量子コンピューティング:黎明期
クラウドが幻滅期というのは私には違和感がありますが、2014年8月のレポートであるということと、期待があまりに過度であったことが理由かもしれません。
IoTが「過度の期待」のピーク期、つまりハイプ(誇大な宣伝)であると位置づけられています。それは誤解であるというのが、坂村氏の論です。
数年前に「ユビキタス・コンピューティング」が流行り、私もユビキタスという言葉を交えたプレゼンテーションをしたことがあります。
ユビキタス・コンピューティングは、日本の得意とする組み込みシステムで実現しており、その概念はIoTともほとんど同じ。その組み込みシステムでは坂村氏が研究を主導してきたTRONをOSとして用いています。
つまり、IoTをユビキタスの後継概念として捉えれば、ハイプの時期は過ぎていて、既に啓蒙活動期に入っているというわけです。
まとめ
新たな技術やその宣伝に触れたとき、それがビジネスにどのような価値をもたらすか、冷静に判断する必要があります。宣伝に踊らされるのは問題ですが、かといって何でもバズワードと決めつけると本質を見失う可能性があります。
ハイプ・サイクルをフレームワークとして用い、その技術の辿ってきた道のりを時間軸で検討することにより、正しい判断を下すことが重要です。