春風亭ぴっかり☆のぴっかり☆夏祭りを見てきた!

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女流の落語家、春風亭ぴっかり☆さんの独演会に行ってきました。ぴっかり☆さんは、春風亭小朝さんのお弟子さんなんですね。まだ二つ目なんですが、最近は東宝芸能に所属したりとか、その可愛らしい容貌(なにしろ、AKB48のオーディションで7歳もサバを読んで最終予選まで残ったり、大人AKBでも良いところまで残ったらしい)もあって、期待されている様子。

女流の落語家さんの噺は、寄席では見たことがあるのですが、独演会で見るのは初めてでした。
正直言うと、女流の落語はちょっと苦手で、なんというか男性との声質の違いというか、なんか安心して聴いてられない感情があったのです。あぁ、女性が頑張ってやってるな、応援しないとなみたいな。ちょっと上から目線があった。

でも、今回の独演会を見て、ちょっと印象が変わったのです。
今回は、女性の落語家だけで、男性が出なかったからというのもあるかもしれない。でも、今回は女性だからというのを別にして、噺に入り込むことが出来たのです。男性とか女性というのではなく、単純に落語として楽しむことが出来た。その発見が、私としては最も意味があったと思うのです。

最初にでた林家あんこさんは、ちょっと頑張って聞かないといけない感じはあった。でも、それは開口一番だし、前座さんだし、性別は関係ないわけです。
関係ないんだけど、やっぱり女流はな…って思ったのも事実。ぴっかり☆さんの師匠である小朝さんも、女性に落語は無理という発言もあるそうで、やっぱりそうなのかなと思ったところもあるのです。

でも、ぴっかり☆さんが現れて、噺を聞いて、これはそんなこともないのではないかと思ったのです。
最初にやった「ちりとてちん」は、後であんまり女流はならない噺ということも後で言っていた(顔をくしゃくしゃにしないといけないから。お嫁に行けないらしい)のですが、これがなかなか噺に入り込めたのです。
次にやった徂徠豆腐も然り。
そこに未熟さを感じたとしても、それは女流だからということではなく、単に二つ目だからということだと思いました。

ぴっかり☆さんは、中入り前に2席、中入り後も馬風さんに教わったという余芸「百面相」と、さらに2席で、4席やりました。いくら独演会とはいえ、4席は大盤振る舞いです。
3席目にやった「こうもり」は、小朝さんの新作かなと思いますが、15~16歳の女の子が主人公の噺なので、ぴっかり☆さんがやると、すっきりハマるわけです。まぁ、ぴっかり☆さんも30代なんですけど。
でも、男性のやる落語だって女性が出てくるわけで、それを60代とか70代のおじさん、おじいさんがやるわけでしょ。だったら、女性が男性を演じても何の問題もないわけよね。

とにかく、女性が落語をやることの可能性を感じさせてもらったと思います。

今日のゲストだった林家なな子さんは、比較的大柄に見えるし、声質も低めだしパワーもあるので、より違和感なく聞けた。(ただ、なな子さんは手首の辺りとか細すぎて、手の仕草をやるときに気になってしまった。女の子でももうちょっとふっくらした方が落語の所作には良いのではないか。)
でも、小柄で声も高めのぴっかり☆さんの方が安心して聞けたのは、二つ目になって数年経つぴっかり☆さんと、二つ目になったばかりのなな子さんの違いだと思うわけです。やっぱり、落語家としての経験の違いがそのまま高座に出るわけですね。
つまり、男性とか女性とか、女性でもそのキャラクターとかではなく、単純に経験や話芸の巧拙が、面白さにストレートに出る。それが、落語の懐の深さだと思います。女流で大成する落語家がいても何の不思議もないと思う。

と、いうわけで、ぴっかり☆さんには落語の未来を見せてもらいました。
いや、今でも真打を張っている女流落語家さんもいるんですけどね。でも、ぴっかり☆さんには、その可愛らしさを維持したまま、真打になって、寄席の定席でトリ(東京の落語界で言うところの主任)を務めて欲しいと思います。

頑張れ、ぴっかり☆!

この記事を書いた人

井上 研一

株式会社ビビンコ代表取締役、ITエンジニア/経済産業省推進資格ITコーディネータ。AI・IoTに強いITコーディネータとして活動。2018年、株式会社ビビンコを北九州市に創業。IoTソリューションの開発・導入や、画像認識モデルを活用したアプリの開発などを行っている。近著に「使ってわかった AWSのAI」、「ワトソンで体感する人工知能」。日本全国でセミナー・研修講師としての登壇も多数。