先日のITC-Neo研究会で、私家版IT経営ロードマップの案を出した件を書きました。
そこで、Web集客という観点においては、
- 自社の強みを見極めること
- 最新のIT動向に沿ったアピールの方法を採ること
- セキュリティやリスク管理などにも対応すること
の3点をポイントとして取り上げました。
攻めのIT経営中小企業百選
経済産業省では、攻めのIT経営中小企業百選という事業を行っています。その受賞企業の一つに「有限会社井組自動車工業」があります。そちらのWebサイトを参照させていただいて、どのような点が優れているのか、私なりの視点で上げてみたいと思います。
SEO対策
Googleなどのサーチエンジンで、検索結果の上位に表示させるための対策であるSEOは、Googleの方針によって結果が大きく変わるところでもあり、以前ほどは重視されなくなってきているように思います。ただ、SEO対策自体はやはり重要で、基本に忠実に、オーソドックスにやることが必要です。
例えば、ページのタイトルの付け方やMETAのキーワードやディスクリプションの記述は疎かにするべきではありません。受賞企業のWebサイトを見てみると、きちんと対応しているようです。地域名や顧客ニーズでGoogle検索してみると、私が使用したキーワードでは1位ではありませんでしたが、上位に出ていることを確認できました。
SNS対策
サーチエンジンと同様に最近重要になっているのがFacebookやTwitterなどのSNS対策です。SNS対策には大きく分けて2つの方向性があり、1つはFacebookページなどを作ってファンを増やすこと、もう1つはOGPの設定です。OGPをきちんと設定すると、Facebookでサイトがシェアされた場合に、Facebookのタイムライン上にきれいにコンテンツが表示されるようになります。
受賞企業のWebサイトでは、FacebookページがWebサイトで紹介されています。ただ、OGPは設定されていないようでした。
更新頻度
実は、○○対策よりも重要なのが更新頻度です。更新頻度が高いことがもたらすメリットは2つあって、1つは更新頻度が高ければコンテンツ量が増えるので、それだけサーチエンジンに登録される数も増えること。もう1つは、サイトの訪問者に「最新情報が載っている」、「ちゃんと活動している企業だ」と好感を持ってもらえることです。
受賞企業のWebサイトを見ると、事例紹介やお客様からいただいた声などのコンテンツが充実しており、更新頻度が極めて高いという状況にはありませんが、少なくとも1か月に1本は掲載が増えているようです。また、社長ブログもあり、こちらも少なくとも1か月に1本以上の記事が掲載されています。
ブログは更新頻度を上げるための切り札です。社長ブログでは、いわゆるプロブロガーを目指すわけではないので毎日1本以上の記事とまで頑張る必要はありませんが、少なくともブログ開設当時から記事数本でストップということだけは避けたいですよね。
強みをきちんと伝える
企業サイトで非常に重要なのは、自社の強みをきちんと理解し、整理した上で、お客様視点で伝えるということです。
これは当社(アルティザンエッジ合同会社)のWebサイトでも、まだまだ不十分な箇所なのですが、受賞企業のWebサイトを見てみると、さすがに整理されています。きちんと伝わってきます。
- 何が、なぜ強いのか
- その強みがお客様視点で何の役に立つのか
- その強みにかける企業として(社長として、従業員として)の熱い思い
といったことが、順を追って説明されています。肚にすとんと落ちるはずです。
顔が見える
企業といっても、中身は結局は人、個人です。
特に人が直接見えるサービス業では、お客様に選ばれるのは、企業ではなく、特定の人であることが多いのです。
受賞企業は自動車修理工場ですが、下請の工場ではなく、エンドユーザーと直接やり取りすることに特化しており、サービス業としての自覚を強くお持ちなのではないかと思います。それが強く表れているのがWebサイトで、社長だけでなく社員の方の顔と名前もしっかり出ています。
個人名が出ることを嫌がる風潮もある中で、この決意は凄まじいものです。ただ、お客様の視点に立てば、「ここに頼めば、この人たちがやってくれるのだ」という安心感にもつながり、一方で社員の方たちも「顔と名前を出して仕事をしている」というプロ意識が生まれるきっかけにもなるのではないでしょうか。
やはり顔の見えるWebサイトが重要
ということで、ここで紹介させていただいた受賞企業さまとは何の関係もなく、勝手に書かせていただいたのですが、それは、あぁ、ここまでのWebサイトができるのだという感動があったからなのです。
デザインが特段優れているとか(十分以上に見やすいのですが)、やたらカッコ良いとか、そういうWebサイトではなく、きちんと内容が伴った、(おそらく)きちんと集客につながるであろうというWebサイトは、なかなかないものです。
Webサイト構築は業者に任せておけばOKとかいう意識は、このWebサイトからはまったく感じません。このWebサイトでビジネスをしようという気持ちがグッと伝わってくるのです。それは、Webの技術的にどうこうとかではなく、会社としての姿勢が現れているからではないでしょうか。