IoTはソリューションである

もしくは、サービスである。でも良いのですが。

昨日、ある店舗でのIoTハードウェア等の導入設置作業を行いました。結果的には、いくつかトラブルがあって仕切り直しになったりはしたのですが…。

そこで感じたのは、IoTを入れるというのは本当にソリューションだなということです。

さくらインターネットの田中さんが、あるイベントでこのような発言を行ったそうです。

日本はものづくり側の人が強すぎる。モノ作るつもりでIoTをやるのが極悪。モノにソフトウェアが付くのではなく、ソフトウェアを動かすためにモノが必要になる。モノをサービスするのではなく、IoTはサービスの手段としてモノが必要になるだけ

私の考え方も基本的には同じで、IoTをソフトウェア的な考え方でやるのが良いと思うのです。ソフトウェア的というのは漸次改善、カスタマイズといったことですね。あとはアジャイル。IoTはハードウェアが存在するので、ソフトウェアほどのアジャイルは難しいのですが、それでもできるだけそういう発想で進めていきたいと思っています。

IoTは、いままでソフトウェアがコンピュータやインターネットの中だけで行ってきたことを、リアルの世界に展開するためのツールです。まさに「ソフトウェアを動かすためにモノが必要になる」なのです。家電製品のような売り切りで使ってもらうものではありません。展示会に出展したとしても、基本的には自分たちの得意なソリューションやセンサーの技術を披露するくらいがせいぜいで、あとはソリューション的に困りごとを解決していくために、一から考えるということになるのではないか。

アジャイルを追求するならば、各地域にいくつかのIoTソリューションメーカー(IoTインテグレータといってもよいのかもしれない)がいて、現場で考えていく、作っていくのが良いのでしょう。さらに言えば、ユーザー企業自身での内製化なのだと思いますが。

その昔(私はその世代ではありませんが)、コンピュータが企業に普及し始めたころに各地域にITベンダーがいた、みたいなことがIoTでもできると良いのかもしれません。モノづくりのつもりでIoTをやってはいけないけれども、IoTにはモノがあるのも事実で、クラウドだけで片付くネットベンチャーと同じことができるわけではありません。

そういう考え方が徹底できていたならば、昨日も問題は起きなかったのではないか…という気がしないでもありませんが。(それだけに自戒のためのエントリーでもあります。)

きちんと手を動かし、もちろん頭も動かす、本当に役立つIoTの提供者になりたいと思います。

この記事を書いた人

井上 研一

株式会社ビビンコ代表取締役、ITエンジニア/経済産業省推進資格ITコーディネータ。AI・IoTに強いITコーディネータとして活動。画像認識モデルを活用したアプリや、生成AIを業務に組み込むためのサービス「Gen2Go」の開発などを行っている。近著に「使ってわかった AWSのAI」、「ワトソンで体感する人工知能」。日本全国でセミナー・研修講師としての登壇も多数。