末永く放送大学に籍を置いておきたいと思った理由

放送大学の大学院での学びが始まって、まだ2か月ほどです。2つの科目を取っていますが、授業は後半まで入っているもののまだ中間レポートも出していないし・・・(そろそろ出さなきゃ)。

大学院で修士課程を終えるまでには少なくとも2年ですが、私の場合は修士選科生として科目を取る方を先にして、修士全科生としての2年は論文作成に充てるということで、3〜4年はかける見通しとしています。だから、その期間は放送大学と付き合っていくことになります。ただ、その期間が終わった後も放送大学に籍を置いておきたいな・・・とも思っています。それが博士課程という意味なのか、学部の方なのかはその時次第ですが、籍を置いておくことによるメリットがあるな・・・と感じているのです。

放送大学に籍があれば様々な授業を視聴できる

それは何かというと、放送大学に籍さえ置いておけば自分が取っている科目以外にもたくさんの授業を視聴することができることです。

私はいま、大学院の修士選科生で、半年の1学期間に2つの科目を取っています。学費は1単位11,000円なので、2科目で4単位=44,000円です。(他に入学金が修士選科生では18,000円かかります。)

だったら学べる科目は2つだけか?というと、そうではありません。もちろん、単位認定される科目は2つですが、授業を受ける(視聴する)だけならいくらでも受けられるのです。いわゆる聴講生のようなものですが、放送大学の授業は主にテレビかラジオの放送なので、それを視聴することができます。

放送大学の放送はBSの専門のチャンネルで行われていて、日本全国誰でも無料で視聴できるようになっているので、別に視聴するだけなら放送大学に籍が無くても良いではないかと、思うでしょう。たしかに、それはそのとおりです。でも、わざわざ視聴したい授業が放送される時間を調べて、リアルタイムで見るなり録画しておくなりするか?というと、そこまではしない・・・というのが残念ながら私だったりして・・・。

放送大学は学びのHulu

別にHuluに喩えなくても、Amazon PrimeでもNetflixでも良いのですが。

放送大学に籍を置く学生はシステムWAKABAという教務情報システムにアクセスすることができます。システムWAKABAにアクセスするためには学生番号をIDとするログインが必要なのですが、この認証基盤はGoogleのG Suiteが用いられていて(共通化されていて?)、Gmailやドキュメント、スプレッドシートといったG Suiteのアプリを使用することができます。capmus.ouj.ac.jpというドメインのメールアドレスも付与されるあたり、なかなかカッコいいな!と思ったりするのですが、それはさておき・・・。

システムWAKABAにログインすると、学内リンクがあって、普段の私はその中にある「オンライン授業」から授業を受けています。(私がいま受講している2科目はどちらもオンライン授業という形態の科目で、テレビやラジオの視聴ではなく、インターネットでだけ配信されている動画と資料、さらにオンラインでの課題提出によって授業が行われます。)

学内リンクには他にもあって「放送授業のインターネット配信」というのがあるんですね。ここではテレビやラジオで放送されている授業がオンデマンド配信されています。大学院生であっても大学(学部)の授業を視聴することができます。すべてを数えたわけではありませんが、ざっと150科目以上が配信されているようで、それぞれの科目に15回の授業がありますから、ざっと2,000本以上の動画がここにはあるわけです。

授業はテレビやラジオの視聴だけでなく教科書(印刷教材)も合わせて使用されるため、動画を観ているだけでは十分な理解には至らないかもしれません。ただ、印刷教材は放送大学の学生でなくても購入できるので、それを活用するのも良いでしょう。

それぞれの科目はきちんと練り上げられた質の高いものであり、テレビでもお馴染みの御厨貴先生や、高橋和夫先生は放送大学で教授を務められており(しかも客員教授ではない)、そうした方々の授業もオンデマンド配信に含まれています。また、放送大学は各分野で著名なあちこちの大学の先生方を客員教授に招いて科目を作ることが多いので、そうした方々の授業をやはりオンデマンドで視聴できるのは垂涎ものです。

また、放送大学の科目は基本的には3〜5年程度で新しい科目に変わります。時流の変化に合わせて例えば2020年の新規開講科目には「AIシステムと人・社会との関係」や、「データの分析と知識発見」といったものもあります。

その時代に合わせた学びを生涯継続していく必要があることを考えると、常に新しい科目が生まれ、その視聴がオンデマンドで可能であるメリットは非常に大きいでしょう。それが、放送大学に籍を置いておきたいと思わせる理由です。

自分の興味を発見する

放送大学では、学部は教養学部、大学院は文化科学研究科のそれぞれ1つの学部・研究科しかありません。ただ、科目の分野に合わせて6つのコース(括弧内は大学院の対応する7つのプログラム)が用意されています。

1.生活と福祉コース(生活健康科学プログラム)
2.心理と教育コース(人間発達科学プログラム・臨床心理学プログラム)
3.社会と産業コース(社会経営科学プログラム)
4.人間と文化コース(人文学プログラム)
5.情報コース(情報学プログラム)
6.自然と環境コース(自然環境科学プログラム)

私がいま受講しているのは情報学プログラムの科目ですが、授業の視聴はどのコース、プログラムのものでも可能です。実際に私がテレビのザッピング感覚で視聴した授業を振り返ると、御厨貴先生の「権力の館を考える」、飯尾潤先生(客員教授・政策研究大学院大学教授)の「現代日本の政治」といった政治に関するものだったりして、自分の興味が何となく見えてきます。

最初に書いたとおり、私はまだ修士全科生ではなく修士論文の研究テーマを決めているわけではないのですが、こうした授業の視聴履歴などを振り返って自分の興味を明らかにしつつ、自分のこれまでやって来たことなどを組み合わせてテーマを決めていきたいと思います。

この記事を書いた人

井上 研一

株式会社ビビンコ代表取締役、ITエンジニア/経済産業省推進資格ITコーディネータ。AI・IoTに強いITコーディネータとして活動。2018年、株式会社ビビンコを北九州市に創業。IoTソリューションの開発・導入や、画像認識モデルを活用したアプリの開発などを行っている。近著に「使ってわかった AWSのAI」、「ワトソンで体感する人工知能」。日本全国でセミナー・研修講師としての登壇も多数。