「明日からできるAI」

新年最初の出張で、東京に来ています。都合もあって横浜に泊まっているのですが、今日が最終日ということで家系ラーメンを食べました。Uターンして1年と少し、北九州にも大抵のものはあるのですが、家系ラーメンは意外と見かけないんですよね。やっぱり、福岡は豚骨ラーメンの文化圏だからですかね。

それはさておき、この出張もそうですし、今後の予定でも教育系のお仕事が続いています。今回は新入社員向け、来週は経営者向け?、その次は専門学校生向けと、いろいろです。

私が教えていることの柱になっているのはAI関連で、技術的にはエントリーレベル、内容としてはAI導入プロジェクトの留意点といったものも含んでいるので、裾野を広げる役割と自負しています。だから、「明日からできる」といった講座タイトルを作ることが多いのです。

では、「明日からできるAI」というのは何なのか。

AIの三大用途(だと勝手に思っている)は、画像認識、チャットボット(自然言語系)、予測で、それぞれ明日からできるものというと何か。

  • 画像認識:Teachable MachineかLobe
  • チャットボット:Dialogflow、Watson Assistant
  • 予測:Microsoft ML Studio (classic)

いずれも、無料とか寛大な無料枠があるもので、ノーコード。

Teachable MachineやLobeは画像ファイルさえあれば、分類モデルが作れてしまうし、デプロイのこともある程度考えられているから、あとはプログラマがいれば実際に分類モデルを組み込んだアプリケーションも作ることができます。AIの学習目的としても、訓練データを準備して、モデルのトレーニングを行って・・・というAIモデル開発の一連の流れを簡単に体験できるので、優れています。

もちろん、こうしたツールだけで、どんな用途でも満足できるAIモデルが作れるわけではないし、あくまで分類モデルしか作れないし・・・という話はあるのですが、企業がPoCを進める上では、ちゃんと「明日からできて」、今後どういうものが必要そうかが分かるだけでも一歩前進です。

DialogflowやWatson Assistantも、画面上の操作だけでチャットボットが作れてしまいます。外部システムと連携するような手の込んだことをやろうとしたり、作ったチャットボットを例えばLINEとかで公開しようとすると、またプログラマが必要になるのですが、チャットボットにおけるAI的なところ(人間の問いかけ意図を推し量る部分)は、ツールの方で面倒をみてくれるので、AIについての専門的な知識がなくても作れてしまうわけです。(チャットボットからの発話も自動で生成するAI技術もありますが、それはまた別の話。)

ML Studioは、GUIでAIモデルの作成過程を組み立てて実行できる魅力的なツールですが、あと2年ちょっとでサービス終了が予告されているのが残念。代わりの何かを見つけないといけないと思っているのですが、いまのところまだ見つかっていません。MicrosoftはAzureの中で同様のツールを提供していて、ML Studioの後継になっているのですが、まだ少し使いづらかったり、無料で使う方法がないのが残念。

今後は、Pycaretのようなローコードで本格的なAIモデルを作れるツールが幅を利かせてくるかも・・・とは思っています。H2O.aiでも良いですが。自分としてはGoogle Colabでもあっという間に動くPycaretの方が好み。
ただ、こうしたローコード系のAIツールは、操作は簡単でも内部ではかなり本格的なことをやっているので、それだけAIについての理解は必要です。それを初心者の方に、きちんと教えられるようになることが、私の次のミッションかなと。

この記事を書いた人

井上 研一

株式会社ビビンコ代表取締役、ITエンジニア/経済産業省推進資格ITコーディネータ。AI・IoTに強いITコーディネータとして活動。2018年、株式会社ビビンコを北九州市に創業。IoTソリューションの開発・導入や、画像認識モデルを活用したアプリの開発などを行っている。近著に「使ってわかった AWSのAI」、「ワトソンで体感する人工知能」。日本全国でセミナー・研修講師としての登壇も多数。