最新技術に関する開発はどこで行うべきか

先日、ある地方都市から依頼を受けたという大手ディベロッパーさん(都市開発の方の)から、なぜ北九州市で生成AIに関する事業をやっているのかと質問を受け、1時間くらいディスカッションしました。

生成AIをやっているのはトレンドだというのと、目の前にニーズがあったからに過ぎません。
AI研修の講師を7年くらいやっているのですが、その自己紹介の場でも言うのは、そもそも私がAIの研究者ではないということです。
あくまでお客様のニーズを受けて始めたことで、それがお客様や案件が変わりながら、ずっとつながっているというだけだったりします。

開発をやる場所という観点は、開発自体はLLMだとクラウドの世界なので(SLMだとちょっと違うかもしれないけど)、あまり関係ないし、パソコン1台でどうにでもなります。実際に、弊社のGen2Goは、私1人が、いま目の前にあるLet’s noteで2~3ヶ月寝る間を惜しんで作った代物です。

おそらく、大学とかとAIの共同研究とかやっていて、そういう研究機関があるのが強みです・・・とか、そういう回答を期待されていたのかなぁとは思うんですけどね。
だから、あまり期待に沿った回答にはならないかもしれませんよ、というのはお伝えしながら。

ただ、ニーズに近い場所にいること(かつ、そのニーズとマッチングしやすい、人の顔が見えている状態)は重要だと思うので、そんな回答をしました。
Gen2Goは、前年にLangChainを使った個別案件が続いて、それである程度ニーズがあることが分かっていて、自分の中にノウハウが貯まっていたからこそ、できたわけです。(実際のところ、その個別案件自体は北九州の企業からというわけではないので、オンラインミーティング全盛の時代であっぱれではあります。ただ、案件にはなっていなくても、生成AIへの期待感みたいのものを北九州の企業からも耳にしているのは事実です。)

ITエンジニアは、ニーズさえ見えていれば(+コンサルタント的なものの見方も必要と思います)、それを解決する術はもっているので、あとはマッチング次第です。
自分は北九州市とか福岡県で公的支援の仕事もさせていただいて、特に中小企業のニーズが見えやすい場所にいるから有り難いなぁ・・・と、思っています。(私の北九州市での立場は、あくまでマッチングを促進するコーディネータで、公平性が重要ですし、特に自社とのマッチングは当然NGです。ただ、どういうニーズがあるのかを聞ける立場にいるだけでも、有り難いのです。)

私のこの意見が、地方都市での技術集積とかそこから派生したまちづくりにつながるのかというと、微妙な気がします。
オンラインでの仕事が普通になったこの世の中で、それでも地域に根ざすことの必要性というか、ハイブリッドでいることの重要性みたいなものが少しでもお伝えできていたなら、少しはお役な立てたのではないかと思っています。

この記事を書いた人

井上 研一

株式会社ビビンコ代表取締役、ITエンジニア/経済産業省推進資格ITコーディネータ。AI・IoTに強いITコーディネータとして活動。画像認識モデルを活用したアプリや、生成AIを業務に組み込むためのサービス「Gen2Go」の開発などを行っている。近著に「使ってわかった AWSのAI」、「ワトソンで体感する人工知能」。日本全国でセミナー・研修講師としての登壇も多数。