Watson無料化!の真相は「IBM Cloud ライトアカウント」らしい

昨日、いろいろ騒がれていますが、Watsonはもともと無料で使えますよ!という記事を書きました。
さすがに日経新聞にデカデカと「Watson無料化」と記事が出ると、騒ぎになるようです。

で、昨日の記事ではその真相は何なのかと訝しげにしていたのですが、どうやらこれのことのようだという話が分かりました。

こちらのサイトでβ版の受付が始まっている「IBM Cloud ライトアカウント」というのがそれで、クレジットカード不要、期限無制限でBluemixのサービスが使用できるとのこと。

今までもBluemixはユーザ登録後30日間は無料で、その後もWatsonを含むほとんどのサービスで無料枠があるフリーミアムモデルを採用していました。その後、各サービスにライトプランというのが出たのですが、いまひとつ今までの無料枠との違いが分かりませんでした。
で、今回のライトアカウントの発表で、ライトプランの存在理由が分かったような気がします。

ライトアカウント: クレジットカード不要、使用できるサービスはライトプランのあるもののみ
既存の通常アカウント: 30日間以内にクレジットカード登録が必要、すべてのサービスが使用可能(ほとんどに無料枠あり)

というのが、真相です。

何が使えるのか?

さて、気になるWatsonのサービスでライトアカウントで使用できるものに何があるかというと・・・

  • Conversation
  • Discovery
  • Language Translator
  • Natural Language Understanding
  • Personality Insights
  • Tone Analyzer

この6つです。

困ったことに画像認識(Visual Recognition)と、自然言語分類(Natural Language Classifier)が入っていません。独自の訓練データを準備して学習させることができる貴重なサービスなんですけどね。これを使うには、今後も通常のアカウント登録が必要なようです。

これが現時点でのWatsonのカタログです。紫色のラベルが付いているライトプラン対応サービス6つが、ライトアカウント対応のサービス。

ちょっと気になるのは・・・

今回の発表のちょっと前にRetrieve and RankとDocument Conversionが非推奨になって、Discoveryが後継となりました。このように、Watsonはクラウドの常として、サービスの変更や廃止があります。

で、気になるのは今回ライトプランに対応したものと、対応しなかったものの差は何かということです。Visual RecognitionのようなAI活用の核となるようなサービスもライトプラン非対応なので、今後あまりやる気の無いサービスを非対応にするというような話ではないように思います。では、軽めのサービスは対応して・・・かな?というと、Discoveryなんてかなり重量級のサービスはライトプラン対応だし・・・。選定の理由はよく分かりません。

いずれにせよ、バズったから良いか

今回の発表及び日経の記事などでWatsonに注目する人も増えたのではないかと思いますし、それはそれで良かったのかなと思います。

この記事を書いた人

井上 研一

株式会社ビビンコ代表取締役、ITエンジニア/経済産業省推進資格ITコーディネータ。AI・IoTに強いITコーディネータとして活動。画像認識モデルを活用したアプリや、生成AIを業務に組み込むためのサービス「Gen2Go」の開発などを行っている。近著に「使ってわかった AWSのAI」、「ワトソンで体感する人工知能」。日本全国でセミナー・研修講師としての登壇も多数。