今日の日経・経済教室で、中央大学の細野助博教授による「地域の人口・所得増加どう達成 事業所増やす努力怠るな」という解説記事が出ています。
ポイントは、以下の3点。
- 人口規模で地域活性化の処方せんは相違
- 中規模の都市、事業所増やす方策特に有効
- 地域の個性やアイデア、技術を複合させよ
人口規模による地域活性化の処方せんの違いについては、3つの法則が紹介されています。
- 事業所数の増加はどの地域でもまんべんなく人口規模の拡大につながるが、その拡大ペースは大都市地域になるほど緩慢になる。
- 事業所増加で起きる人口の増加によって、人口5千人以上の地域では人口規模の拡大以上に課税所得が増える。
- 1人当たり課税所得と人口の間には、一方が増えれば他方も増えるという双方向の関係がある。
このことから、中規模の都市ほど、事業所増加が地域活性化のための特に有効な方策であることが明らかになります。
この法則は1990年から1995年のデータを元にしているため、2つめの法則にある「5千人」という数字が、いまでも妥当なのかは分かりません。
というのは、平成の大合併により、1999年3月末の市町村平均人口が3万6387人であったものが、2010年3月見込みでは6万7772人となるなど、市町村の平均規模が圧倒的に大きくなっているためです。また、人口1万人未満の市町村も1537から471に減っています。(今日の日経3面で「市町村再編 ひと区切り」という記事があります。)
ただ、市町村の人口規模が大きくなったということは、それだけ事業所増加による効果が出やすい中規模都市が増えた、と言うことは出来るでしょう。
細野教授は3つ目のポイントにあるように「地域の個性や多様性に富む事業所の増加こそが求められる」と述べています。
合併によって生まれた都市が、拡大した人口規模と行財政基盤をベースに、いかに新たな事業所を創造していくのか。このことも平成の大合併による成果を測る上で重要なポイントになるのではないかと思います。