今日の日経朝刊で、世界ICTサミット2009(日本経済新聞社・総務省主催)が特集されていました。IT業界に身を置く者として、触れないわけにもいきません。
記事から読み取れる範囲で、まとめておこうと思います。
行政での活用課題 野田聖子 内閣府特命担当相(IT政策等)
- 直近5年間で日本のICT産業のGDPに対する寄与度は34%に達した。
- 医療・教育・雇用などの分野でICT活用は進んでおらず、国民は本当の良さを実感できていない。
- 個人情報に敏感になりすぎ、病院や行政機関で情報共有にムダが生じている。
海外でサービス拡充 野副州旦 富士通社長
- ITサービスはハードウェアほど寡占化が進んでいない。(シェア首位のIBMでも7%程度)
- 「IT資産をどう所有するべきか」ということから、「ICTをどう利活用していくか」という時代に入っていく。
セッション「クラウドコンピューティングの台頭」
- クラウドの普及は速く、大手企業も採用して、2015年より前の段階で本格的な利用が始まる。(米EMC ファインバーグ氏)
- やみくもにソフトの利用がクラウド型にならない。クラウドと既存のソフト利用のいいとこ取りの世界になるだろう。日本では企業ごとの個別開発のシステムが多く、高い信頼性を求める日本のユーザーへのクラウドの浸透は、欧米に比べるとやや時間がかかる。(マイクロソフト 樋口氏)
- 基幹業務系のシステムをクラウド化するのは難しい。情報系のシステムではクラウドの導入がしやすく、普及が進むだろう。(ネットワンシステムズ 吉野氏)
セッション「ソーシャルWeb革命」
- 例えば渋谷で友達と遊んでいたのが自宅でSNSを通じて友達と交流するようになっている。(グリー 田中氏)
- SNSはメールをしのぐツールになるだろう。(米マイスペース カッツ氏)
- SNSは従来のメディアが提供する情報をオンラインで普及させる役割を担うと思う。(中国OPI チェン氏)
以上。通信系(ICTのC)は省きました。
野田氏のいう、特に行政分野においてICTのメリットが実感できていないというのは、そのとおりだと思います。野田氏は「国民電子私書箱構想」について触れていますが、情報がある程度オープンなところに集約されて使えるようにならないと、国民が実感できるITの用途はかなり限定されます。
ITサービスにとって、クラウドが欠かせない存在になるという見方は同感。ただ、日本での普及は遅いだろうというのも同感。高い信頼性を求めることは理解できますが、それがややもするとICT担当者の事なかれ主義の賜物ではないか?という危惧も拭い去れません。もっと経営の視点から考えれば、顧客の側からこそクラウド化の推進が求められても良さそうなのですが・・・。この分野でも日本がガラパゴス化してしまうのではないか、という不安があります。