岡嶋裕史さんの「ウチのシステムはなぜ使えない SEとユーザの失敗学」という本を読んでいたのですが、感想を書いてなかったので。
一言で言えば「こんな本いるのかな?」ということ。
SEが読んでいて役に立つ話は特にない。SEなら当然知っているだろうと思われる、開発プロセスのこととか、開発プロジェクトにアサインされる人々のこととか、見積のしくみとかが書いてあるだけ。ただ、皮肉たっぷりに。
そう、この本には皮肉がたっぷり。それなりにキャリアのあるSEが読むと、きっと「あるなぁ~」「あるある」という話がいろいろ出てくる。曰く、SEには開発系と運用系の2種類がいて、だいたい仲が悪いとか。アーティストのようなプログラマは設計書のとおりにプログラミングしてくれないとか。
きたみりゅうじが書いているSE本に近い。描かれるSE像、プログラマ像がステレオタイプすぎるきらいもあるけれども。
読み進めると分かるのだが、そもそも、この本はSEを相手に書いている本ではない。ユーザ側に対して、あなたの会社のシステムを作っている人々のバックグラウンドはこうで、こういう考えで作っているのだと、レクチャーしている本なのだ。少しでも使えるシステムを作って欲しいのなら、相手の考え方を知っておいた方が得だよと。
だから、この本を読んで「皮肉たっぷりだ」と思うのは、私がSEとして10年近く過ごしてきたゆえかもしれない。世の中からは(もっというと自分のユーザさんから)は、こういう変わった人として私は見られているのかもしれない。
こういう本が必要になることについて、私たちSEは大いに反省が必要なのではないかと思う。
ユーザの意識とはどこかズレているのではないか?SEの論理で過ごしていると当たり前だと思っていることが、世の中では実は当たり前ではないのではないか?と。
SEのために書かれた本でないことは確かだが、一つの反省材料としてSEが読んでみても良いだろう。