今日、鳩山内閣が総辞職し、菅直人氏が内閣総理大臣に指名された。
そのことは、まぁ、いいのだが、私が朝から気にしていたのは組閣が週明けと報じられていたことだ。仮に菅首相の任命が今日で、組閣が週明け(朝は7日かもという話だったが、8日ということになったようだ)になったとすると、今週末は内閣に菅首相だけがいて、各省大臣は誰もいない(菅首相がすべての大臣職を担う)という状態になってしまう。そうなると、もし何か危機的状況が発生した場合、日本はどうなってしまうのだろうと。
いろいろとニュースを追っかけてみると、さすがにそんなことにはならないようだ。8日に内閣総理大臣の任命式と、大臣の認証式をやるらしい。これならば、何の問題もない。
憲法のおさらいをしておこう。内閣が入れ替わるステップは、以下のようなものである。
- 前内閣の総辞職
- 新内閣総理大臣の指名(国会)
- 新内閣総理大臣の任命(天皇)
- 組閣(新内閣総理大臣が大臣を任命する)
- 新大臣の認証(天皇)
憲法の試験があったとすれば、出題のポイントは、内閣総理大臣は国会が指名して天皇が任命すること、他の大臣は内閣総理大臣が任命し天皇はその認証(任命の手順が正しいことを証明する)をすることだ。内閣において、内閣総理大臣の地位は非常に強い。天皇から任命され、他の大臣を自ら任命できるのである。(故に、内閣総理大臣は他の大臣を自ら罷免にできる。ちょうど、鳩山首相が福島大臣を罷免したように。罷免は内閣の了承などいらない。)そして、内閣総理大臣が辞職すれば、他の大臣が道連れ(つまり総辞職)になるのも、内閣総理大臣の強さ故である。
では、前内閣の大臣は、いつまでその職務を果たすのだろうか。上記のステップでいうと、5の次の大臣が決まるまでなのか?否、答えは3である。大臣はそれを指名した内閣総理大臣と一蓮托生であるから、内閣総理大臣が変わった以上、前の内閣総理大臣に任命された大臣はその権限を失うのだ。
これを今回の鳩山氏→菅氏への移行にあてはめると、どうなるか。
- 前内閣の総辞職 ・・・ 4日
- 新内閣総理大臣の指名(国会) ・・・ 4日
- 新内閣総理大臣の任命(天皇) ・・・ 4日 or 8日?
- 組閣(新内閣総理大臣が大臣を任命する) ・・・ 8日?
- 新大臣の認証(天皇) ・・・ 8日?
ここで、3をいつやるかが問題になるのだ。もし、3を4日にやってしまうと、3から5の間に中3日の時間が空くことになる。つまり、ある意味で究極の独裁体制ともいえる菅一人内閣が3日間も出来上がるのだ。8日にやれば、そのようなことにはならない。
(以下、追記)
ただ、気になることに鳩山内閣の面々は4日早々に片付けを始めたという。鳩山首相に至っては既に官邸を後にしている。彼らは8日までの間もこの国の内閣の一員であることを認識しているのだろうか。通例では、内閣総理大臣が指名されるとすぐに組閣に入り、内閣総理大臣の任命とその他の大臣の認証が同日中に行われる。だから、旧内閣の大臣が早々に出て行くことになる。それは、たしかに内閣総辞職後の一般的な風景である。初めて政権を担う民主党の面々は、ただその風景に倣っているのだろうか。しかし、今回は特例なのである。その認識さえあれば、片付けよりも職務にあたるべきではないのか。民主党の行政センスが疑われる行動であるのは間違いない。