スマートフォン関連ビジネスの5つの方向性

AndroidアプリをAndroid Marketに掲載していたら、それに関するメールがいろいろ届きます。サポートや機能追加の依頼というわけではなく、何らかのビジネスの紹介です。こうしたメールを見ると、スマートフォン関連のビジネスがどのように考えられているのかが読めてきます。その他、目に付いたものも含め、スマートフォン関連ビジネスの方向性を考えてみようと思います。

Androidアプリのマーケットプレイス

Androidでは、アプリのマーケットを独自で開設することが出来ます。その辺が、すべてのアプリをAppleが審査するiPhone/iPadとは違うオープン性です。Google自らが開設しているAndroid Market以外にも、ドコモはドコモマーケット、auはau one Marketを、自社が展開するAndroidスマートフォンのために開設しています。

一方でキャリアとは無関係に独自開設されたマーケットとしてappli.jpがあります。ただアプリを紹介しているというだけでなく、独自の課金システムを提供しているのでマーケットプレイスとして成立しているのです。ただ、現時点では登録されているアプリが少なく、どの程度ビジネスとして利益が出ているのかは分かりません。アプリの開発者はまずAndroid Marketに登録するでしょうから、アプリの登録本数では勝負になりません。どうやって特色を出していくのかがポイントになるでしょう。

スマートフォンの情報サイト

最も始めやすく、最も勝負が激しいのが情報サイトでしょう。出来るだけ早く始め、定番サイトとして認識されれば、書籍化などでブランディングが進みます。企業が開設することもあるが、個人でもある程度はやれてしまうところでもあります。

アプリ著作権の売買仲介

つい数日前にメールが届いたのがソフトウェアM&Aです。スマートフォンアプリに限らず、様々なプラットフォームで動作するソフトウェア著作権の売買を仲介するサイトのようです。

ソフトウェアの開発者(著作権者)が買収を希望するソフトウェアを掲載し、買収者に見つけられることを待ちます。買収が成立すれば、買収金額の5%が仲介手数料となるのです。OracleやMicrosoft、Googleに代表されるようにソフトウェア業界は買収が盛んな業界ですが、スマートフォンアプリ程度の小規模アプリで買収が成立するのかは疑問です。思いついたアイディアがあれば、買収交渉をするより作った方が速かったりするので・・・。

とはいえ、例えば「美人時計」のように既にブランド化されていて、様々な展開が期待できるものであれば買収は十分に成立するでしょう。ただ、それは単なるソフトウェア著作権の売買というわけではなく、ビジネスモデルやブランドの買収となります。

アプリ開発案件の仲介

アプリ開発に限ったサービスではないものの、何かの仕事をしてくれる人を探し、フリーランサーや中小企業が提案書を提出したり、コンペに応募したり出来るサービスがLancersです。ロングテールの仕事を、ロングテールの個人や企業が請け負う、いかにもネットらしいサービスだと言えます。
スマートフォンアプリの開発プロジェクト程度の規模であれば、Lancersの活用は十分検討できます。既に、そのような案件も多く登録されているようです。

スマートフォンアプリを格安に作るソリューション

中小システムインテグレータがスマートフォン関連ビジネスに乗り出そうとする時、最初に考えるのは開発の請負です。それがシステムインテグレータが最も経験しているビジネスだから、当然と言えば当然。
しかし、単なる開発の請負では競争力に欠けてしまいます。そこで注目したいのは特定分野のスマートフォンアプリを容易に開発するソリューションです。

MobileRoadieは、アーティストや企業イベントのアプリをプログラムレスで作成できるパッケージです。スマートフォンアプリには、オフィススイート等のいわゆるアプリケーションソフトウェア的なものもありますが、アーティストの最新情報の提供、企業イベントで期間限定で公開するものといった以前ならWebサイトをメディアとして使っていたようなものもあります。Webサイト+α程度の機能しかないアプリであれば、たしかにプログラムレスで作成するパッケージを作れそうですね。MobileRoadieがまさにそれといえるでしょう。

Androidアプリの開発で有名なタオソフトウェアが提供するDOROKURIは、Androidアプリを自動作成するサービスです。フォトアルバムや目覚まし時計といったテンプレートを用いて、Webサイト上でのカスタマイズ項目入力で、アプリが作成できます。自由度は低いものの、自分の好きな写真を使ったアプリを手軽に作成して、自分で使ったり家族や友人にプレゼントするといった用途でなら、十分に使えます。

この記事を書いた人

井上 研一

株式会社ビビンコ代表取締役、ITエンジニア/経済産業省推進資格ITコーディネータ。AI・IoTに強いITコーディネータとして活動。画像認識モデルを活用したアプリや、生成AIを業務に組み込むためのサービス「Gen2Go」の開発などを行っている。近著に「使ってわかった AWSのAI」、「ワトソンで体感する人工知能」。日本全国でセミナー・研修講師としての登壇も多数。