製造業では資材の標準化という考え方があります。様々な物を作るための材料の種類を出来るだけ限定することで、コストを下げたり、在庫管理をやりやすくします。
システム開発も一種の製造業と捉えるならば、どのように資材の標準化が行えるのでしょうか。
Engineering Department employees, 1962 / Seattle Municipal Archives
システム開発において資材とは何かといえば技術者と言えるでしょう。特にプログラマですね。(そもそもシステム開発を製造業として捉えて良いのか、プログラマのやるモノづくりは単なる製造ではなく、設計を含んでいるのではないかといった議論もありますが、ここでは置いておきます。)
そこで資材を標準化するとは、プログラマが使うプログラミング言語を絞り込むということになるでしょう。たとえば、うちはPHPのプログラマを集めて、何を作るにもPHPを使っちゃおうという経営をやるわけですね。もちろん、何でもかんでもPHPで作れるというわけではないのですが、結構いろいろ作れちゃうのも事実だし、技術に特化することで他社との差別化を図るといったことも出来ます。
さて、製造業の資材の標準化では、その功罪として以下の6つのことが言われています。SIerではどうでしょうか。
■長所
品質面
PHPのプログラマを集めて、そればかりでモノづくりをすることになるので、基本的に品質は向上します。経験が積み重なることで一人一人のプログラマの技術力が向上するでしょうし、自社のフレームワークが出来て行くでしょう。
コスト面
自社のフレームワークやコンポーネントが出来ることで、コストダウンも期待できます。
納期面
やはり、自社のフレームワークやコンポーネントが出来ていて、経験豊富なエンジニアも揃うということになれば、納期も短縮化出来るでしょう。
管理面
自社の誰に頼んでも同じ仕事が出来る可能性が高まりますから、管理もしやすくなります。需給のミスマッチも解消されていくでしょう。
■短所
経営面
PHPという一つの技術にこだわることにより保守的な考え方に支配される可能性が高く、技術革新に追いつけなくなるリスクがあります。
業務面
何でもかんでもPHPでやろうとするので、設計に無理が出てくる可能性が高くなります。
いかがでしょうか。たしかに功罪あるわけですが、経営者としては魅力的に見えると思います。
技術革新という点では、次の技術をウォッチし、研究を進めておき部署を社内に作ることで解決できるかもしれません。
技術者のモチベーションに関しては、使う技術を絞り込むことで「他の技術ができない」というあきらめにつながり、モチベーションダウンにつながります。これも次の技術のウォッチをするグループなどを社内にうまく整備することで解決できる可能性があります。
この考え方は技術革新のスピードとの兼ね合いで採用できるかどうかが決まると思われるので、一般的に製造業よりも技術革新のスピードが速いと思われるシステム開発業界では、リスキーな戦略と言えるかもしれません。
しかし、製造業の生産管理の考え方を取り込むことで、SIerの経営を考える視野が広くなるのは間違いありません。