自作のAndroidアプリ「本なび」をリリースして数ヶ月が経つ。本なびは、オンライン書店の書籍検索フォームが出張してきたようなインタフェースを持ち、本を検索して書籍情報を見たり、その場で購入したり、買いたい本をリストに置いておけたりするアプリだ。
これまで、いくつかのサイトでレビューをしてもらった。その度に言われるのが、Amazonが使えたらいいのに・・・ということなのだ。
実は本なびは楽天ブックスのAPIで検索し、楽天ブックスから本を購入できるようになっている。例によってアフィリエイトで私の懐に少しだけお金が落ちるようになっているのだが、売れ行きは全く芳しくない。そもそも、2~3日で作ったアプリなので期待もしていないが、これがAmazonだったら状況が変わっていたかもと、思うこともある。
なぜ、Amazonではなく、楽天ブックスなのだろうか。今日は、その話をしようと思う。
答えはAmazonの運用規約
本なびのようなアプリをAmazonで作ろうとすると、関係する運用規約が2つある。一つはアフィリエイトのための「Amazonアソシエイト・プログラム運営規約」、もう一つは本を検索するための「Amazon.co.jp Product Advertisement APIライセンス契約」だ。
問題になるのは後者なのだが、注目するべき部分を抜粋しよう。
4. 利用条件
Product Advertising API にリクエスト送信を行う、データフィードにアクセスをする、または商品関連コンテンツ を使用することにより、お客様は下記の要件を遵守することに同意します。
(e) お客様は、当方の事前の書面による同意なしに、携帯電話またはその他携帯端末での使用を目的とした、または意図したウェブサイトまたはアプリケーション上で、またはこれらに関連して、商品関連コンテンツを使用することはできません。ここにあるとおり、「当方の事前の書面による同意なしに」は、携帯端末での使用は出来ないのだ。当方(Amazon.co.jp)の事前の書面による同意があれば、使えるのだろうが、どうやって申請するのか、それが個人相手でも同意を得られるのかについては、調査していない。
楽天ブックスのAPIは?
このような理由で、本なびは楽天ブックス書籍APIを使用している。このAPIに関する規約は「楽天ウェブサービス規約」だが、こちらは特に携帯端末での使用を禁止するような記述はない。
楽天ブックスのAPIで検索して、Amazonで買ってもらうのは?
アフィリエイトに関する「Amazonアソシエイト・プログラム運営規約」においては携帯端末での使用を規制するような記述はない。アフィリエイトは携帯端末でやっても良いということだ。Amazon自らがモバイルでのアフィリエイトを奨励するくらいだから、当然だ。
だったら、楽天ブックスのAPIで検索して、本の購入はAmazonに誘導するという悪巧みを思いつく。だが、これはまさに悪巧みであって、楽天ウェブサービス規約において禁止されている。
第8条(利用者ソフトウェアの制作)
3.利用者は、ウェブサービスを使用して利用者ソフトウェアを制作するにあたり、サイト上のウェブサービスを使用した部分においては、 楽天サイト以外のウェブサイトへのリンクを設置してはならないもの とします。楽天もボランティアでAPIを提供しているのではないから、当然の措置だ。Amazonの規約にも同様の記述がある。
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そんなわけで、なるべくして、本なびは楽天ブックスのAPIを使い、楽天ブックスで本を購入できるようにしているのだ。
本の検索をするAPIさえ制限がなければ、Amazonで本を購入することは可能なのだから、どこかそういうAPIを・・・と思うところだが、Wiki: 外部提供インタフェースについてなんかを見ていると、ふむふむと思うことはある。この記事に関する最新動向はこちら