iPadでハードウェアの時代は終わった

iPadが日本でも発売された。大いなる盛り上がりを見せている。ただ、それは単なる新しいハードウェアの発売ということではない。

自分は、Android端末は使っているが、iPadどころかiPhoneも使ったことがない。 その立場で述べるならば、iPadの魅力はエコシステムだ。それはiPhoneで作ったエコシステムであるが、圧倒的なユーザ数をベースに、マーケットが出来ている。サードパーティーが積極的に参加している。特に魅力的なのは、コンテンツだ。今まで、どんなプラットフォームにもアプリは揃うことは多かった。しかし、コンテンツがこれほど揃っているのは初めてだ。 いま、iPadで出来るといわれていることは、PCでも出来ることばかりだ。しかし、それを魅力的に感じさせているのは、そのエコシステム故だ。

では、なぜiPhoneではなくiPadなのか? それは形である。単純なことだか、サイズが大きいということだ。B6の手帳で出来ないことが、A5のノートなら出来ることがある。手帳とノートは明らかに使い道が違うのである。本で例えれば、文庫のサイズと週刊誌のサイズでは、出来ることが違うということなのだ。

こうしたことを考えると、ハードウェアをスペックで見る時代は、完全に終わったのだと思う。ただ、ハードウェアは、フォームファクターの違いで、モノの種類を分けているに過ぎない。 これは時代の進化だと思う。ハードウェアは完全なるコモディティになった。ただ、どのエコシステムの中にいて、サイズが小さいのか大きいのかでしかないのだ。 あとは、エコシステムとして、Appleが良いのか、Googleが良いのかという争いは残っているが。

この記事を書いた人

井上 研一

株式会社ビビンコ代表取締役、ITエンジニア/経済産業省推進資格ITコーディネータ。AI・IoTに強いITコーディネータとして活動。画像認識モデルを活用したアプリや、生成AIを業務に組み込むためのサービス「Gen2Go」の開発などを行っている。近著に「使ってわかった AWSのAI」、「ワトソンで体感する人工知能」。日本全国でセミナー・研修講師としての登壇も多数。