スマートフォンとタブレットでレジスターがなくなる

「Business Media 誠」にスマートフォン・タブレット端末が駆逐する「ある市場」という記事が出ています。

今のApple Storeには一般的な店舗でおなじみのレジスターがない。代わりに使われているのが、iPhone/iPod touchである。

レジスターの構成要素を考えると、画面やキーボードなどのUI、バーコードリーダー、キャッシュドロアー、レシートプリンター、金額の計算や店舗サーバとの通信を行うコンピュータに分かれますが、UI、バーコードリーダー、コンピュータについてはスマートフォンやタブレットといったスマートデバイスで充分。あとは、キャッシュドロアーとレシートプリンターだけがどこかにあれば良くて、そうした周辺機器との通信はWiFiやBluetoothを使えばレジスターは成立です。

古いレジ@小金井公園(江戸東京たてもの園)古いレジ@小金井公園(江戸東京たてもの園) / super overdrive

大手スーパーやコンビニエンスストアのように、複雑なシステムを大規模導入・一括管理するとなれば話は別だが、そうでない場合は、汎用機であるスマートフォン/タブレット端末といったスマートデバイスをハードウェアとして使い、アプリとソリューションサービスを組み合わせて「業務用専用機の代わり」として使った方が、開発・運用・コスト面でメリットとなるケースが多い。このような流れにあわせて、様々な商品が登場している。

スーパーやコンビニエンスストアでは、多くの商品を高速に処理しないといけない都合もあるので、なかなかスマートフォンやタブレットのような汎用デバイスではまかなえないかもしれないという考察は的を射ていると思います。

しかし、Apple Storeのような専門店、居酒屋のような飲食店などでは、可能性があります。

さらに、スマートデバイスは大切な現金が入ったキャッシュドロアーとは切り離されているので、店員があちこち持ち歩いたり、お客さんに操作してもらってもOK。たとえば、店員がスマートデバイスの画面を見せながらお客さんにいろいろと販促活動をして、そのまま会計してしまう。居酒屋によくあるタッチパネルの注文機を代替するなど、様々な応用が考えられます。

スマートデバイスを中心に据えたPOSシステムを手がける企業は今後どんどん出てくるでしょう。

この記事を書いた人

井上 研一

株式会社ビビンコ代表取締役、ITエンジニア/経済産業省推進資格ITコーディネータ。AI・IoTに強いITコーディネータとして活動。画像認識モデルを活用したアプリや、生成AIを業務に組み込むためのサービス「Gen2Go」の開発などを行っている。近著に「使ってわかった AWSのAI」、「ワトソンで体感する人工知能」。日本全国でセミナー・研修講師としての登壇も多数。