外部の人間であることの意義

前に書いた、これからのSEもしくはアーキテクトってこんなのかもなという話というエントリーで、システムの内製化が進むとエンジニアの所属先が変わる。でも、外部の人間であることに意義を感じている人もいて、そういう人にとって内製化は脅威だといったことを書きました。今日はそれについて、もう少し掘り下げてみようと思います。

私が一時期籍を置いていた某コンサルティング会社の研修で、このような話を聞きました。

お客様が我々外部の人間を求めるのは、内部の人間だけでは出来ないことをやりたいからだ。
つまり、日々の改善ではなく、抜本的なイノベーションを起こすこと。
それが、お客様が我々に求めていることなのだ。

ちょっと、カッコつけすぎかな?という気がしないでもないですが、これこそが外部の人間であることの意義だと思います。

Innovation Games
Innovation Games / HGruber

お客様企業側から見れば、外部に仕事を出すのはアウトソーシングとしてであって、つまりは人件費の流動費化を目的としているに過ぎないということもあるかもしれません。しかし、そういう立場で働く側の人間もそう思っていたとしたら、あっという間にその仕事は自分の目の前からなくなってしまうでしょう。経費という観点でだけ人を見ているのだから、同じ仕事が出来るなら安い方が良い。つまり、アウトソーシング先はどんどん海外に行ってしまう。

だから、その考えでは駄目だという問題意識がまず必要になるのです。外部の人間としてやる仕事を、「外部の人間でもできること」から、「外部の人間でないとできないこと」へ。そうした立場のシフトが出来てこそ、外部の人間でいることの真の意義が生まれるのではないでしょうか。

この記事を書いた人

井上 研一

株式会社ビビンコ代表取締役、ITエンジニア/経済産業省推進資格ITコーディネータ。AI・IoTに強いITコーディネータとして活動。画像認識モデルを活用したアプリや、生成AIを業務に組み込むためのサービス「Gen2Go」の開発などを行っている。近著に「使ってわかった AWSのAI」、「ワトソンで体感する人工知能」。日本全国でセミナー・研修講師としての登壇も多数。