キャリアアップのために何を勉強すれば良いのか?

IT技術者が自分の出来る仕事を増やそうとすると、その方法は2つあります。

1つは、例えばいまJavaができる人がPHPもやってみようとか、HTMLができる人がJavaScriptもやってみようといった、できる技術を増やすという方法があります。プログラミングとかコーディングといったやる仕事の種類は変わらないけど、自分が受け持てる幅を広げていくということですね。こうした水平的拡大のことを、「職務拡大」といいます。

もう1つは、設計書に沿ったプログラミングだけをやっている人が設計もできるようになる、設計をできる人がプロジェクトマネジメントもやってみるといった方法もあります。こうしたPG→SE→PM的な歩み方はキャリアの積み上げ方としては一直線すぎて前時代的と見えるかもしれませんが、プロジェクトマネジメントをできる人がプログラミングをやったって良いわけだし、少なくともプログラミングしかできない人より、プログラミングとプロジェクトマネジメントの両方ができる人のほうが市場価値としては高いわけで、そういう成長もやはり必要です。ちなみに、こうした垂直的拡大のことを「職務充実」といいます。

Job Seekers queuing up at check point 2
Job Seekers queuing up at check point 2 / jobsdbmalaysia

管理者の立場でいえば、メンバーに職務拡大となるような仕事を振ることは、比較的容易にできます。少なくともJavaでプログラミングができる人なら、その場の勉強でもPHPはなんとかなるだろうと思う。その人が書くPHPにそこはかとないJava臭が漂うかもしれないけれど、なんとかなる。仕事を受けるメンバーの立場でも、自分はJavaは出来るのだから、今日の仕事帰りにでもPHPの本を買ってどうにかしようと思うはず。

一方、職務充実となるような仕事を振るのは、躊躇があります。あるメンバーがJavaのプログラミングができるからといって、ちょっとした業務でもモデリングしてクラス図書いてメソッドを割り振って・・・ということができるかというと、それは別の話。しかも、仕事帰りに設計の本を買ったとしても、それで一朝一夕にできるようになるかというと、それもやっぱり違うと思うのです。

この違いはどこにあるかというと、そのメンバーの、その時点でのキャパシティというかアベイラビリティというか、基礎的な職務遂行能力なのではないかと思います。つまり、職務拡大の場合は類似の仕事をやった経験があるのだから、その応用が効くだろうと考える。そう、基礎と応用。基礎力があるから、応用もできるのですね。一方、職務充実の場合は、新たな基礎力を必要とするので、応用でどうこうできる話ではないのです。

最近、中途採用での面接官をやることが多いのですが、多くの求職者が「御社で○○な仕事をしたい」と言います。(自分も転職活動をした経験があるので、わかります。)

その○○という仕事が、その人にとって職務拡大であったなら、もうちょっと上の仕事はしたいと思わないのかな?とは思うけれど、まぁ、それだけ。しかし、職務充実であったとすれば、すかさず「そのために何か勉強したりとかしていますか?」と聞きます。悲しいかな、多くの人が「特にやっていません」と答えます。それって、何か履き違えているような気がするのです。転職すれば、会社がすべて教えてくれて、職務充実的な新しい仕事が できるようになると思っているのかと。会社は実力を試す場は提供するでしょう。もちろん、様々な後方支援策もとる。しかし、何から何まで与えてくれるような会社はもう皆無だといって良いでしょう。少なくとも、中途採用者に対しては。

つまり、職務充実の方向でキャリアアップを考えるとすれば、いま自分がやっている仕事とは直接関係しないことを、個人的に勉強しないといけないということです。職務遂行能力は知識と実際の経験で構成されるので、最終的には実際にその仕事をやってみないと本当の能力は付きません。しかし、知識については本でもネットでも、様々な方法で、自分の力で身につけることができます。だから、その努力は怠ってはいけないと思います。

この記事を書いた人

井上 研一

経済産業省推進資格ITコーディネータ/ITエンジニア/ブロガー。
井上研一事務所代表、株式会社ビビンコ代表取締役、一般社団法人ITC-Pro東京理事。
北九州市出身、横浜市在住。 AIやIoTに強いITコーディネータとして活動中。著書に「初めてのWatson」、「ワトソンで体感する人工知能」など。セミナーや研修講師での登壇も多数。

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