今年のデブサミが今日と明日ということで、今年も目黒雅叙園に来ています。
いつも思うのですが、やってることと場所がマッチしないイベントです。ただ、それを続けてきているので、ここはもう胸を張るべきですね!
まず、その1日目。デブサミは朝から夕方まで7セッション(×5会場×2日間)と、そのセッション数に圧倒されますが、私が見た中で最も印象に残ったのは、サーバーワークスの大石良氏による「SIの未来ってどうなのよ?」でした。
このブログでもSIの未来についてはいろいろ書いています。
セッションの中で、いわゆる中の人ほど(中の人しか)SIなんていらない!とは言っていない・・・という話がありましたが、私はその張本人だったりします。いや、ダメだの、要らないだのとばかりは言っているわけではないのですけどね。
調達モデルの変化が起きている
大石氏やサーバーワークスの経験によれば、クラウドの浸透によって顧客がSIerを不要とするかというと、それは違うのだといいます。
顧客はシステムに対するコントロールをSIerから奪い返そうとしているわけではないし、クラウドを使うにしてもすべてを自身でやろうとしているわけではない。
クラウドを安心して自社のビジネスに導入するための「ある種の保険」として、SIerを必要としている。
また、ユーザ企業からSIerが要らないということは聞いたことがなく、そういう声はSIerの中の人からしか聞こえてこないと言います。
たしかに、私の経験でもユーザからそういう話を聞いたことはないですね・・・。
しかし、その大石氏にしても、今のままのSIerがそのまま生き残ると言っているわけではありません。
「調達モデルの変化」が起きているというのです。
それは、どういう変化なのでしょうか。
今までのSI:ピラミッド型
Day 30 – Working late makes me.. / Phil and Pam
今までのSIerは、ユーザから何か要件が出てくると、人を集めようとします。人を集めてチームを作り、役割を細分化してピラミッド型の組織にします。
人が多いとコミュニケーションが大変なので、ドキュメントによるバケツリレーが始まります。
また、集めた人がどこの会社の人か分からないので、なおさらコミュニケーションが大変になります。
SIerの求人案内で求められるスキルの第1位が技術力ではなくコミュニケーション力だというのは、笑い話のようですが真実です。(むしろ、いや技術力だ!なんていうとオトナになれよとせせら笑う声が聞こえてきたりする。)
そうなると、顧客の要求に対して、成果物はドキュメントだったり、細切れになったコードということになりがちです。
これからのSI:非常に小さなチーム
これからのSIは、非常に小さなチームで成果を出していくことになります。ユーザ企業からすれば、無駄な人は要らない、出来る人だけを出してくれというわけです。
人が少なくて、出来る人しかいないとなると、コミュニケーションは圧倒的に簡単になります。もちろん、ユーザとのやりとりをする人はそれなりのコミュニケーション能力が必要になるでしょうが、それはまた別の話で、チームが小さくなるのだから、その構成員となる以上は、ある程度喋れなければなりません。
重要なのは、コミュニケーションにかける負荷が小さくなるということだと思います。
ただ、人が少なくなると、大きなものをフルスクラッチで作ることは出来ません。そこで鍵を握るのがクラウドの存在です。
これからのSIでは、極力作らない。数多あるクラウドサービスをどう選んで、どう組合せて、どう使うか。そこのところをきちんと出来る必要があるというわけです。
ヤバくなるSIerはどこだ?
大石氏のいう調達モデルの変化は、つまり今ほどエンジニアが要らなくなるということを指します。出来るエンジニアだけが残れば良いのであって、SIerの経営としても、人材バッファとしての役割しか果たさないSIerであれば淘汰される。
ただ、そういう役割しか果たしていないSIerは日本に相当数あると思います。そういう会社は片っ端からヤバいのです。
それは単に中小零細企業がヤバいという意味ではありません。いくら小さくてもキラリと光る技術なりサービスがあれば生き残ることは出来る。
ここから先は完全に私の個人的意見ですが、こういう会社がヤバいと思います。
- 特定の大手SIerの景気で自社の経営が右往左往する
- 社員の増加が売上のアップにつながってきた(それ以外の売上アップ要因がない)
- 二次請け、三次請けで、チームで人を出している(でも、やってる仕事はバラバラ)
こういうSIer、日本に結構あると思います。
この3つの特徴が何を意味するでしょうか。お分かりですね。このSIerは今まで人材バッファとしての役割しか果たしていないのです。
と、あまり明るくない話になってしまいましたが、逆に言えば駄目なSIerが淘汰されるだけであって、そこで残った、残ることが出来たSIerには、明るい未来が待っているのではないかと思います。
これは会社だけではなく、エンジニア個人としても同じです。
ここは是非、自分の腕を磨き、明るく楽しいSIを実現していきましょう!