ブレインストーミングと親和図で理想像を作ろう

First daytime company meeting! (w/ @evco on the video chat) Moving to new space in T-minus 2 weeks!
First daytime company meeting! (w/ @evco on the video chat) Moving to new space in T-minus 2 weeks! / dpstyles™

あるお客様先で、事業部としての今後のビジネスプランを考えるにあたって、ファシリテーターとしての役割をさせていただいています。これから半年くらいかけて考えて、来年から取り組めれば良いというスケジュール。
ビジネスプランをチームで考えるという活動は、ITコーディネータのケース研修でみっちりやったのですが、早速その実践の場をいただけたことに感謝です!

ファシリテーターを務めるにあたって、どういう進め方をすれば上手くいくか、いろいろ考えました。基本的には研修でやったことをベースにしたのですが、参加するメンバーの立場、個性などを踏まえてカスタマイズしました。
結果としては、それなりに上手くいったと思いますし、お客様からも「予想以上に楽しかったし、こんなにアイディアが出てくるとは思わなかった」というお言葉をいただくことができました!

テーマは「お客様に感動してもらえる理想的な(事業部のビジネス)とは何か?」について。こんなスケジュールで行いました。

チーム分け 5分
全体説明 15分
WestJet航空の動画 5分
ホワイトボードと付箋紙でブレスト 30分
親和図でグルーピング 15分
休憩 10分
発表 10分
両方で親和図 20分
スローガン 10分
クロージング 5分

今回、どういう進め方、工夫をしたか、まとめておきます。参考にしていただければ、幸いです。
(ちなみに、ITコーディネータの研修でやったことの受け売りが結構あります。。。)

最初に動画でイメージを伝える

冒頭に、YouTubeの動画を見てもらいました。
ネットでも一時話題になったウエストジェット航空の動画で、「これから考えることは日常から離れたもの」ということを伝えました。
半年間の活動で求められるのはイノベーティブなビジネスプランなので、このミーティングの場では日常の仕事からは一旦離れて、突き抜けたアイディアを出して欲しいと考えました。そのために、敢えて今の仕事とは関係ない(なさそうに見える)動画を見てもらったのです。

全体の流れを最初に説明する

あらかじめホワイトボードに今日やることを書いておいて、最初にそれを説明しました。
その時点、時点で行ってもらっている作業が、全体の何につながるのかを把握してもらうためです。

時間管理をきちんとする

全体の流れを説明したことと合わせて、時間管理をきちんとやりました。
普段は、結構だらだらと長い会議になりがちなのですが、今回は間伸びした印象を感じてほしくありませんでした。半年の長丁場になるので、この活動が建設的なものになるというポジティブイメージを作るために、テキパキ進めていきたかったのです。

きちんと進め方を説明する

自由な発想を大切にしたいので「枠」は出来るだけ取り払おうとしましたが、それぞれのアクティビティの進め方はルールに従ってもらいました。そのために、アクティビティの前にきちんと進め方を説明し、アクティビティの最中にも重要なルールは繰り返し説明しました。

チームを作る

今回の参加人数は私を含めて6人だったのですが、敢えて2チームに分けました。私は進め方の説明もあるので、両方のチームに時間を分けて入るようにしました。また、リーダーの方にも時間を分けて両方に入ってもらいました。
チームに分けると、後で発表の時間を作ることができます。1チームしかなかったら、発表の必要がないですからね。

紙に書く

模造紙が準備できなかったので、大きめの画用紙を100円ショップで買って、2枚貼り合わせました。
それを台紙にして、自分の出したアイディアを付箋紙に書いて、貼ってもらいました。
付箋紙を使うと、あとで話をまとめる際に、自由に移動させることができます。
紙に書くことによって、議論が空中戦になるのを防ぐことができます。また、別に書記を設けず、自分のアイディアは自分で書いてもらうことによって、言いっ放しを防ぐ効果もあると思います。

PC、手帳等禁止

ミーティングというと習慣でPCや手帳を持ってくるのですが、今回はそれを自席に置いてきてもらいました。PCがあると、つい別作業をやり始めちゃうし、今回は手帳にメモるようなことも特にないのです。
まず、目の前にある大きな紙と付箋紙に注力してもらえる環境を作ることが必要です。

批判しない、ポジティブループを回す

批判しないこと。他の人のアイディアに「いいね」と乗っかり、さらにそれを発展させたアイディアを出す、ポジティブループを回すこと。
これは、ブレインストーミングを進める上で最も重要なことなので、繰り返し説明しました。

行動ではなく状態を定義する

「こうすれば」お客様の感動につながるではなく、「こういう状態に」お客様は感動するのだというアイディアの出し方をしてもらいました。

今回得たい結論は、具体的なビジネスプランではなく、それを考える元になる「理想的な姿(ビジョン)」がどのようなものかです。はっきりしたビジョンがメンバー間で共有できるようになれば、その後で外部と内部のビジネス環境を踏まえた上で、具体的なビジネスプランを作ることが容易になります。この順序を逆にしてしまうと、結局何のためにそれをやるのか?という議論に陥るおそれがあります。

「行動ではなく状態」は、ITコーディネータの研修で何度も何度も注意されたことです。難しいんですよね。。。

発表を取り入れる

ブレインストーミングだけではアイディアが拡散したままなので、親和図でグルーピングしてもらった上で、発表してもらいました。
発表を取り入れることで、アイディアをまとめようというモチベーションになりますし、お互いのチームの発表を聞くことで、見方の違いも自覚することができます。

チーム毎の発表をまとめる

研修ならチーム毎の発表で良いのですが、今回はちゃんと結論が必要なのでチーム毎の成果をさらに親和図でグルーピングし、参加メンバー全員のアイディアを整理しました。
このグルーピングの視点も人それぞれにあるので、そこで議論して、成案を得ていくことが重要です。

スローガンをみんなで考える

最後にスローガンを作ります。スローガンを作ることで、ここまでに出てきたアイディアを1つの言葉で言い表すなら何になるか?を考えることです。
ここで作ったスローガンが言霊のようになれば、今後の議論や実際の活動に筋が通ったものになることが期待できます。

この記事を書いた人

井上 研一

株式会社ビビンコ代表取締役、ITエンジニア/経済産業省推進資格ITコーディネータ。AI・IoTに強いITコーディネータとして活動。画像認識モデルを活用したアプリや、生成AIを業務に組み込むためのサービス「Gen2Go」の開発などを行っている。近著に「使ってわかった AWSのAI」、「ワトソンで体感する人工知能」。日本全国でセミナー・研修講師としての登壇も多数。