IoTでの新サービスを活用法と変化のマトリクスで考える

1月に行ったセミナーで、IoTやビッグデータ、人工知能といったIT技術の進展をどのように社会に活かしていくかという視点で、技術の活用度と、変化の方向性という2つの考え方をご説明しました。

ビッグデータをどう活用するか

まず、技術をどう活用していくかというスライドです。

IoTによって集積されたビッグデータを人工知能を使ってどう活用していくかというと、可視→予測→自動→自律の順に活用の度合いが進化していくというお話をしました。

「可視」は見える化です。ビッグデータを分析して傾向を見える化します。あくまで見える化なので、その傾向から何らかの判断を下すのは人間です。

「予測」になると、コンピュータは未来を予測します。その予測から人間が行動することを支援します。

「自動」は、コンピュータは予測だけでなく、その予測に基づいて何らかの行動を起こします。しかし、その行動はあらかじめ人間が決めておく必要があります。

「自律」となると、予測に基づいてどのような行動をするか自体をコンピュータが決めるようになります。

変化の方向性

次のスライドは変化の方向性です。

「役割変化」は、今まで人間が行っていたことをコンピュータが行うようになることです。例えば自動車の自動運転だったり、Pepperが人間の対話の相手になったりすることです。

「最適化」は、センサーなどの活用で個人個人のデータをより緻密に収集することにより、より個人に最適化したサービスが提供可能になることです。今まで一般的なことだけが示されていた生活習慣病の予防法が、個人に特化した形で為されるようになるといったことです。

「有効活用」は、今まで有効活用されていなかった資産・資源を、ITの力で有効活用するようになることです。活用されていなかった部屋や家を民泊に活用するAirBnBが例として挙げられます。

活用度と変化の方向性をマトリクスにする

この2つを掛け合わせてみるとどうでしょうか。上図のようなマトリクスが出来上がります。

自社が現在行っているサービス等をこのマトリクスに当てはめることにより、IoTを活用した新たなサービスに進化させるアイディアが出せるようになるのではないかと思います。

実際の事例を当てはめると、なお興味深くなっていくのですが、それは次回の記事にしましょう。

この記事を書いた人

井上 研一

株式会社ビビンコ代表取締役、ITエンジニア/経済産業省推進資格ITコーディネータ。AI・IoTに強いITコーディネータとして活動。画像認識モデルを活用したアプリや、生成AIを業務に組み込むためのサービス「Gen2Go」の開発などを行っている。近著に「使ってわかった AWSのAI」、「ワトソンで体感する人工知能」。日本全国でセミナー・研修講師としての登壇も多数。