Googleは電気、Yahoo!はテレビ

inoccu’s blogは、Googleの提供するBloggerというサービスで運営しています。

でも、まぁ、Googleらしさというか、ポータルサイトが提供しているブログサービスっぽい感じがまったくしませんね。WordPressでやっていますと言えば、信じてもらえるかもしれない。それが、Googleらしいのかもしれません。
Bloggerのロゴがない。実はBloggerのヘッダがページ上部にあるのですが、スタイルシートの設定で簡単に非表示にできます。(老舗のBlogger用テンプレートの配布サイトでも、ヘッダを非表示にして配布しているところがあります。)
URLも、独自ドメイン設定が出来るので、Bloggerであることが分かりません。
広告もありません。もちろん、Google AdSenseを貼ることも出来るのですが、それは自分が貼りたいから貼るというだけの話です。
それで、無料です。いったい、GoogleがBloggerをどう利益に結びつけているのか、分からないのです。

ただ、基本的にGoogleのサービスはコミュニティ作りが苦手です。Googleは、orkutというSNSを提供していますが、普及しているのはブラジルだけという奇妙な状態になっています。Bloggerではプロフィールで他の人と結びつけたり、読者として登録したりといった機能を持っているのですが、少なくとも日本においてはBloggerユーザが圧倒的に少ないため、ほとんど効果が出ていません。

こういうことを思うと、Googleは非常に便利なサービスを提供するけれども、人が絡むようなものは苦手ということが言えるかと思います。それだけに、Googleが提供するサービスで評判の良いものは基本的にツール(メール、地図、カレンダーなど)です。Bloggerも独自のコミュニティはまったく期待できないけれど、ツールとしては使いやすいのです。

一方の雄、Yahoo!はどうかというと、代表的なサービスはオークションやショッピング。ブログやSNSもその知名度の高さから一定のユーザを集めている様子。
メールやカレンダーも提供していますが、「違いが分かる」ユーザは、Googleを使うことが多いようです。私もYahoo!とGoogle双方のメールとカレンダーを使ったことがありますが、使い勝手はGoogleの方が圧倒的に上でした。
つまり、Yahoo!はツールは苦手だけど、人の絡むもの(オークションやショッピング)は得意といえるのではないかと思います。娯楽性の高いサービスが多いのですね。

一時期は、Google VS Yahoo!という構図が盛んに語られましたが、結局は棲む世界が違うのであって、双方が生き残るということなのでしょう。
Googleはなくてはならないツールをインフラのように安定して供給する電気会社のような存在であり、Yahoo!は娯楽性の高いサービスを提供するテレビ局のような存在。そういう棲み分けです。

これが、もともとからの個性による棲み分けなのか、Yahoo!が検索エンジン戦争に敗れた(日本では未だ五分五分とも言えるが…)結果の生き残り策として進んだ結果なのかは分かりません。
しかし、Yahoo!は人手で作るディレクトリサービスを端緒にしている会社だけに、もともとそういう会社だったのではないか…と思いますが、いかがでしょうか。

この記事を書いた人

井上 研一

株式会社ビビンコ代表取締役、ITエンジニア/経済産業省推進資格ITコーディネータ。AI・IoTに強いITコーディネータとして活動。画像認識モデルを活用したアプリや、生成AIを業務に組み込むためのサービス「Gen2Go」の開発などを行っている。近著に「使ってわかった AWSのAI」、「ワトソンで体感する人工知能」。日本全国でセミナー・研修講師としての登壇も多数。