来年のワールドリーグに日本は参加しないと、12月の初めに新聞などのメディアが一斉に報道した。それに習ってこのV-STATIONでも記事を掲載したのだが、不参加の理由は「国内で合宿を行いチームを強化する」ためとされている。JVAの豊田専務理事も「今の試合日程では選手は悪いところを治す時間もない。FIVBは難色を示したが、強化委の意見を最重視して今回は決断した。再来年以降も参加しないというわけではない」と言っている。しかし、その強化策とは別に本当の理由があったらしいのだ。
例年、ワールドリーグはNHKで放送されている。ワールドリーグには参加条件があって、その一つに参加国のTV放送義務がある。FIVBのいう21世紀のメジャースポーツ化を推進するためにもTVの力は甚大だし、そのために義務を課したのだろう。
しかし、そのNHKとの放送契約が切れ、JVAは再契約を望んだものの断られてしまった。他のTV局からも良い返事はなく、日本はTV放送義務を果たせなくなったのだ。
これが本当の理由だ。それではJVAのいう強化策は嘘なのかというと、それも本当のことで、寺廻監督は「どちらかと言えば不参加の方向」であり、斎藤強化委員長も「試合が多すぎる」という持論がある。つまり、スポンサー云々の本当の理由を影に追いやって、いかにも正論の強化策を前面にもって来たということなのだ。
日本が出した辞退という結論にFIVBは難色を示した。これは日本の持つFIVBに対する影響力によるところだ。ここで勘違いしてはいけないのは、あくまで影響力であって発言力ではないこと。たしかに、松平氏がFIVB副会長であったころ、日本の発言力は大きかった。実際、三大大会の一つであるワールドカップの開催は松平氏の提案だ。しかし、松平氏が一線から退いた今、日本の発言力は落ちてきている。それなのに大きな影響力を持てるのは、正しくジャパンマネーだ。FIVBは収入の多くを日本に頼っている。実際、バレーボールが興行として成立するのは日本とブラジルだけらしい。
何とか日本に出場して欲しいFIVBは、役員ポストやらシドニー五輪の最終予選の日本開催やらを持ち掛けたが、結局スポンサー問題は片付かなかった。
今回のワールドリーグをはじめ、多くの大会のTV放送契約が1998年に切れる。NHKの契約拒否や、日露対抗での明治製菓のスポンサー降板など、厳しい状態が続いていて、今後もこのような事が続かないとも限らない。一部には国内の春高バレーも厳しいという噂すらある。
この暗い状況を打破する方法は一つだけ。全日本が強くなることだ。来年の世界選手権で日本が上位に食い込むこと。これが、日本バレーの未来を輝かしいものにする第一歩なのだ。そのためにも、私たちファンの応援は力になれるに違いない。バレーボールの灯を消してはならないのだ。