WINで共通的に再生できる動画ファイルを作りたい

新しい携帯を買う度に、携帯動画変換君を使って動画ファイルを変換し、再生の実験をしています。
大抵、うまくいっていて、素晴らしい限りですが、1つ残念なことがあります。
それは、変換したファイルが、その携帯でしか再生できないということ。
半年に1回のペースで携帯を変えるとして、その度に変換を1からやり直すのであれば、変換する気も失せるというもの。
それが、同じauのWINに限定したとしても、そうなのです。

たしかに、QVGAである程度長い時間の動画再生は、携帯の公式の機能ではありません。
まぁ、仕方ないのです。
しかし、仕方ないではすませたくないので、ちょっと実験してみました。
ネットのあちこちで出ている情報は、「その機種での最高画質を追求する」タイプのものが多いです。
「汎用的に再生できる」ことも、間違いなくニーズがあるはずで、ここに書くのは、そういう話です。

まず、結論から言ってしまえば、汎用的なファイルを作るためには、画質を我慢しなければなりません。
自分の実験の限りでは、QVGA、動画のビットレート180kbps、10fps、断片化なし、音声は22.05kHzで32kbps、エンコーダはxvidといったスペックの3g2ファイルならば、汎用的に再生できそうです。
携帯動画変換君で、W31T向けに出回っている設定では、動画のビットレートが320kbps、15fps、断片化あり、音声は44.1kHzで64kbpsなので、結構、低いスペックにしなければなりません。
それが、どの程度の画質劣化になるかというと、それほど動きの速くない美勇伝の「紫陽花アイ愛物語」のPVで実験してみたところ、寛容に見てあげれば、大して気になりません。
こういうものだと思えば、非常に満足のいく画質、音質です。
おそらく、VHSの3倍モードを許容する人なら、まったく問題ないと思う程度でしょう。

重要な前提が後回しになってしまいますが、この実験は、W31Tと、W31SAで共通的に再生出来ることを汎用的と言っています。
但し、携帯動画変換君のサイトで、様々な機種での情報が出ていますが、それを見る限りでは、この程度のスペックの動画ファイルなら、ここ1年程度で出たWIN機種なら結構、イケそうな感じです。(当然、再生できないものもあります。)
また、W31SAは携帯動画変換君で対応できるWIN機種の中では、かなりタイトなスペックを要求する機種なので、それをパスすれば、他でもイケそうと思えます。
具体的には、動画のビットレート、fps、断片化なしといったあたりは、W31SAでの制限によるものです。

このようなスペックの動画ファイルを、それよりもっと優れたスペックの動画ファイルを再生できるW31Tで使っても、そこそこ満足できます。
しかし、1つだけ問題があります。
それは、「断片化なし」についてです。
「断片化なし」が何を意味するかというと、動画再生時のレジュームや、時間指定ジャンプ、早送り、早戻しが出来るかどうかに関わるのです。
「断片化あり」なら、上記の機能が使用でき(もちろん、その携帯の動画再生機能が対応していれば…です)、「断片化なし」なら、使用できません(つまり、再生はいつでも最初から)。
とはいっても、「断片化なし」のファイルでも、PC上のQuickTimeで再生すれば、上記の機能はすべて使用できるので、携帯の機種によっては大丈夫なものもあるかもしれません。

もう1点、W31Tでは、「断片化あり」にしても、それだけではダメです。
ATOMヘッダを書き換えて、W31Tで撮影したムービーであるように偽装してやらなければなりません。
携帯動画変換君では、このW31T用の偽装に、V601T用の設定ファイルを使うことが出来ます。
東芝機種に関して言えば、キャリアに関係なく、「東芝機種」という程度の情報しかヘッダにないのかもしれません。
つまり、断片化あり+東芝偽装で、再生での時間指定関連の機能が使えるということです。

これが、昨日と今日で実験を行った結果です。
本来なら、動画再生機能が公式になり、少なくともWIN機種の間では共通になるようなことになれば、この実験はそもそも不要です。
そうなることを望みますが、現状ではこうした現実があるので、それなりに対応をとる必要があります。
自分は、時間指定再生が不要な内容の動画は、汎用(と思われる)なスペックで作ることにしました。
W31Tの次に買う機種が、本当にこのスペックの動画なら再生できるのかは分かりません。
所詮は気休め程度の話ですが、次の機種を買う前に調査をすることは可能だろうし、現時点で汎用性があるなら、次の機種を買う時点でも選択肢があると期待は出来ます。

この記事を書いた人

井上 研一

株式会社ビビンコ代表取締役、ITエンジニア/経済産業省推進資格ITコーディネータ。AI・IoTに強いITコーディネータとして活動。2018年、株式会社ビビンコを北九州市に創業。IoTソリューションの開発・導入や、画像認識モデルを活用したアプリの開発などを行っている。近著に「使ってわかった AWSのAI」、「ワトソンで体感する人工知能」。日本全国でセミナー・研修講師としての登壇も多数。