中小企業診断士の勉強を始めて、もうすぐ2ヶ月くらい経ちます。学習方法にも紆余曲折がありながら、最近は、軌道に乗ってきたという感覚があります。
ただ、その一方で熱にほだされるように勉強するという感覚がなくなり、自分の意志をきちんと持たなければ、勉強をやめてしまうこともある、そういう危険な時期に入りつつもあります。
私がこのようなことを言うのは、行政書士の資格を挫折した経験があるからです。私の場合、基本的に独立したいという思いがあり、行政書士の勉強を始めたのもそのためです。熱にほだされている時期に、それまで勤めていた会社を辞めるということまでやって、しばらく勉強した後、考えるのです。行政書士の資格を取っても仕事が取れるだろうか・・・と。それは、人それぞれでしょう。行政書士だから食えないとは思わない。だから、資格を取る前に少しでも準備をしようと思って、Webで何か出来ないか・・・と考えました。でも、行政書士のような法律系の仕事は資格なくやるとだいたい違法なので、良い方法が思い浮かびませんでした。そうこうするうちに、勉強そのものをやめたのです。
中小企業診断士の勉強を始めたのは、(1)やはり独立の可能性があるということ(中小企業診断士には独占業務がありませんが、経験のあるITと組み合わせて起業することまで含んで)、(2)診断業務以外にもセミナー、講演、執筆といった仕事(これはまさに自分がやりたい仕事です)が出来ること、(3)企業経営の全般を学ぶことから現在のSEとしての仕事との相乗効果もあるという3点が理由です。
つまり、行政書士の勉強をしているときに感じた不安を打ち消すことが出来るものとして、中小企業診断士を選んだというわけです。
では、本当に中小企業診断士はSEとつながるところがあるのか、今までの勉強成果から考えてみようと思います。
結論から言えば、SEの仕事との相乗効果は間違いなくあります。
それは、以下のようなことです。
SEの実務で役に立つ
これは直接的なメリットです。今、私はSIerの工事進行基準に関するプロジェクトをやっています。その上で、中小企業診断士で学ぶ会計の知識は役立ちます。現場では(会計分野を直接やっているわけではないので)それほど高度な知識は求められませんが、知っていると理解が深まるということはあるのです。
また、「この人は分かっている」というふうに見られれば、顧客からの信頼度が高まり、プロジェクトでの発言力が増します。
SEの仕事のやり方を考える上で役に立つ
中小企業診断士には「運営管理」という科目があります。工場の運営管理と、店舗の運営管理をそれぞれやるのですが、工場の運営管理はシステム開発のプロジェクト運営とつながるところがあります。システム開発(受託開発)が受注生産であることは当然のことですが、(一般の)製造業では受注生産はワン・オブ・ゼムであり、見込み生産と対比することで受注生産の特徴がくっきり見えてきます。つまり、システム開発のプロジェクトの特徴がくっきり見えるということです。
また、製造業はシステム開発よりも歴史のある業種であることから、生産性に関する研究が進んでいます。生産合理化の基本である3S(単純化、標準化、専門化)や、改善の4原則(なくせないか、一緒に出来ないか、順番を変えられないか、簡素化・単純化できないか)、サイクルタイムの考え方など、システム開発の現場に新たな視点を与えそうなものがゴロゴロ転がっています。
世の中でシステムに期待されていることが分かる
中小企業診断士試験では、様々な業種(製造業、流通業など)、職種(財務、人事など)に関する知識が問われます。その勉強をしていると、様々な業種、職種で、何が問題になっているのか、システムに何を求めているのかが見えてきます。
システム開発の現場では、システムそのものを安定稼働させることや、顧客の要望に対する対応に追われます。それに対応することは重要ですが、その結果、システムに本来求められていたこととの乖離が起きることもあります。
その理由は、忙しくて熟考しないまま実装に取りかかるといったこともありますが、それよりもシステムに本来何を求められているかを知らないことが多いのではないかと思います。システムは経営を良くするために使われるのであり、目の前のユーザーの要望に短絡的に答えるためにあるのではないのです。
このように、今、目の前の仕事でのメリットもあるので、引き続き、中小企業診断士の勉強を続けることにしようと思います。
ただ、晴れて合格した後に、どう次につなげていくか。資格そのものが目的にならないようにしなければなりません。そのことも、少しは考えているのですが、さらに深掘りしていく必要があります。