「新世代One to One & CRM」によると、ブランド商品の製造原価率は低く抑えられているものと、コストの大半を占めているものに二分されるといいます。製造原価率を低く抑えている商品は、そのぶんプロモーション費用を多くかけることでブランドを維持しており、これを神格性のブランドと呼んでいます。一方、製造原価率の高い商品は信頼性のブランドと呼びます。
ネットの世界では神格性のブランドは存在するのでしょうか。信頼性のブランドはどうでしょうか。
神格性のブランド
神格性のブランドを築いている企業は多額のプロモーション費用をかけています。神格性のブランドは大きな利益を得られる可能性があるので新規参入が後を絶ちません。既に成功している企業は新規参入を阻止する策を講じる必要があります。
アップルのスティーブ・ジョブズのようにカリスマ経営者がいるというケースもあります。アップルの利益率は非常に高いので有名です。しかしジョブズがいなかった頃のアップルのように、神格化される要因が失われると一気にブランド力を失い問題企業となる可能性があります。
信頼性のブランド
信頼性のブランドは商品のコストの多くを製造原価が占めます。利益は少なくなりがちです。しかし、いったん築かれた信頼性のブランドはイノベーションを継続する限りブランド力を維持することが出来ます。自社のブランド力が信頼性によるものだと認識している企業はイノベーションを怠りません。
同書では、不二家や雪印が起こした事件の根本原因を、自らは信頼性のブランドなのに神格性のブランドと勘違いしたことにあると指摘しています。
リアルとネット
リアル世界での著名人がブログやTwitterを始めると一気に注目を浴びます。それはネット世界での神格性のブランドだからです。最近はブログやTwitterを始める著名人が相次ぎインフレ気味なのでブランド力は以前ほど高くありません。それでもリアル世界でも無名な人がやるよりは遙かに注目されます。やはり、今でも神格性のブランドは生きているのです。
とはいえ、やはり著名人のネット参入が頻発していることから、一度引きつけた注目を長く継続させることは難しくなっています。新規参入を阻止することが出来ないネットの世界では、神格性のブランドの維持は困難というしかありません。
ウッフィー
ネットの世界でブランドを築くには、信頼性のブランドを目指すしかありません。そのために重要になるのはウッフィーです。ウッフィーの高い人がネットの世界でブランドを築きます。
ウッフィーとは「ツイッターノミクス」の中で紹介された概念(もとはSF小説の「マジック・キングタムで落ちぶれて」より)で、下記のように説明されています。
それは、ウェブの世界では「お金」よりはるかに価値のある「通貨」である。それは与えることによって増えていく。貢献することによってたまっていく。
リアルからネットに参入した著名人がブランドを維持出来るかは、その人がネットで何をしたかによります。少し古い例ですが、眞鍋かをりや中川翔子がブログ女王と呼ばれるようになった理由は、飾らない自分の考えを日々書き出したからです。まず毎日届けることによってリアルでも彼女たちを応援していたファンを満足させました。そして飾らない意見がネットで彼女たちを知った人の興味を引き、感心させたのです。こうした満足や感心を与えたことによってウッフィーが増えていったわけです。
最近だとTwitterの人気者になった広瀬香美でしょうか。彼女も日々届けることを続けていますし、それ以上にTwitterを初心者に広げたり、Twitterの面白さにアクティブにチャレンジするような活動をしていることがウッフィーの増加につながっています。
彼女たちは、もともとリアルでの著名人であり神格性のブランドを持っていました。ただそれに安住することなく、ウッフィーを増やす行動を続けたことでネットの世界で真に評価される信頼性のブランドを得ることが出来たのです。
一方、多くの私たちのようにリアル世界でも無名な人は、最初から信頼性のブランドを築けるように行動していかなければなりません。ネットの世界に何を提供出来るのか、何であれば貢献できるのか。ネットの世界で生きるには、常に貢献ということを考える必要があるのです。