良いリーダーはリーダーシップのスタイルを使い分ける

最近、プロジェクトマネージャやトレーナーといったリーダーシップを必要とする仕事をしているのですが、人が直接の相手となるだけに、やはり難しいものです。いま、私は2つのプロジェクトで別々の種類の人たちを相手に仕事をしているのですが、どちらに対しても同じスタイルでいて良いのでしょうか。

中小企業診断士の学習では、企業経営理論の中に組織論という分野があり、組織構造やリーダーシップ、人的マネジメントについて学びます。その中で出てくる、パス・ゴール理論について見ていきたいと思います。

リーダーとハル
リーダーとハル / chiaki0808

パス・ゴール理論はR.Houseが1971年に提唱した理論で、リーダーは環境的な条件や部下の個人的な特性によって異なるリーダーシップスタイルを取らなければならないというものです。R.Houseは4つのスタイルを提示しています。

指示型リーダーシップ
メンバーへの期待をはっきり示した上で、仕事のスケジュールを設定し、仕事の達成方法も具体的に指示する

支援型リーダーシップ
相互信頼をベースに、メンバーのアイディアを尊重し、感情に配慮する

参加型リーダーシップ
決定を下す前にメンバーの提案を聞き、活用する

達成指向型リーダーシップ
困難な目標を設定し、メンバーに全力を尽くすように求める

例えば、部下が自信を持てない時は支援型を、仕事がはっきりしない場合は指示型を、というふうにリーダーはリーダーシップのスタイルを使い分ける必要があるというわけです。

メンバーのモチベーションを上げるに、リーダーは、魅力的な目標(ゴール)と、そのための道筋(パス)を明確に示す必要があります。これは期待理論の考え方ですが、パス・ゴール理論はその期待理論を満たすために、リーダーがいかなる行動スタイルをとれば最もリーダーシップを発揮できるかを説明したものと言えるでしょう。

つまり、どのような仕事であるのか、それをどのようなメンバーでやっていくのか、ということを踏まえて、リーダーは目標とそのための道筋を、どのように伝え、導いていくのかを決定し、行動に移していかなければならないのです。

この記事を書いた人

井上 研一

株式会社ビビンコ代表取締役、ITエンジニア/経済産業省推進資格ITコーディネータ。AI・IoTに強いITコーディネータとして活動。2018年、株式会社ビビンコを北九州市に創業。IoTソリューションの開発・導入や、画像認識モデルを活用したアプリの開発などを行っている。近著に「使ってわかった AWSのAI」、「ワトソンで体感する人工知能」。日本全国でセミナー・研修講師としての登壇も多数。