リアルグラフへの違和感について思うこと

古き良き時代への回帰というか、なんというか。

リアルグラフへの違和感 – naoyaのはてなダイアリー: “たしかに自分も、実名・・・というか現実のアイデンティティが隠せないようになれば、ネット上でもまともなコミュニケーションが生まれるのかなと期待していたところは少なからずある。でも、全然そうじゃなかったというか、逆に、facebook のそのアイデンティティを強く意識してコメントしたりしていそうな人ほど信用ならないようなものができあがってしまった。facebook 的なリアルなコミュニケーションより、2ちゃんねるの匿名のほうがずっとましだ。”

「アイデンティティを強く意識してコメントしたりしていそうな人ほど信用ならない」というのは、たしかにうなずけるところで、自分自身もそういうモードというか、そういうスイッチが入っているときは、信用ならない感じを抱かせるコメンティングをしているような気がしないでもない。

おそらくそれは、商売っ気が入っているときのモードで、セルフブランディングのスイッチが入っているときなんだと思います。

2ちゃんねるの匿名性はとかくやり玉に挙がることが多いけれど、より素に近い発言が出来るような気がするのも事実です。(といって、私は大して2ちゃんねるに書く人じゃないけれど。まぁ、書いたことはあるけど。)素性が明らかでないのだから、商売っ気のある書き込みはどうしてもステマ風になってしまうし、そうでなくても「関係者乙」と言われて終わりという、比較的そういう商売っ気のある発言に対する免疫というか、相互監視態勢がしっかりしていると思うのです。

(コミュニティでそういう商売っ気のある発言をどう扱うべきかは、そのコミュニティの文化によると思います。少なくとも、2ちゃんねるはそういう発言が嫌悪される文化があると理解しています。)

Facebook at Mozcon - Alex
Facebook at Mozcon – Alex / Thos003

一方で、Facebookは商売っ気のある発言をする人はその意図を隠そうとしないし、それに対する反発を感じても、その批判を実名で行うことになるため、余計な論争に巻き込まれたくないと考える賢明な人物は見て見ぬふりをする。

何にしても、最近はビジネスな人たちの目利きが早くて、ちょっと流行りそうなサービスがネットで始まると、広告代理店的な人がわっと集まってきて、ひととおりの普及施策だとかメディアミックスだとか芸能人活用が始まって、続いてコンサルティング会社的な人がやってきて「ビジネスに生かす云々」というセミナーやら本やらがわって出てくる。

その結果、そのネットサービスはたしかに流行るのだけど、なんだか山師っぽい人ばかりがたむろして、うさんくさい異業種交流会を延々と続けるだけになってしまう。それは、実名サービスであるほどリアルのビジネスにつなげやすいので、Facebookがそうなるのは自明なのかもしれませんな。

事実、Facebookは日本においては電通がわっしょいわっしょいしている現実もあり、そんなことを言うとデンツウガーとか言われそうですが、やっぱりそうなのかなと思うところがあることは指摘しておいても良いのではないかと思います。

この記事を書いた人

井上 研一

株式会社ビビンコ代表取締役、ITエンジニア/経済産業省推進資格ITコーディネータ。AI・IoTに強いITコーディネータとして活動。画像認識モデルを活用したアプリや、生成AIを業務に組み込むためのサービス「Gen2Go」の開発などを行っている。近著に「使ってわかった AWSのAI」、「ワトソンで体感する人工知能」。日本全国でセミナー・研修講師としての登壇も多数。