バランス・スコアカード(BSC)については、ビジネスプラン作りのワークショップにおいて、戦略マップを組み立てるために使う方法を紹介しました。
ITコーディネータの研修でもBSCは重要な位置づけにあり、かなりしっかり取り組みます。というか、ITコーディネータのプロセス自体がBSCをベースに組み立てられているのではないかというほどですね。
今日は、BSCの機能について、確認しておくことにしましょう。
コミュニケーション機能
BSCを使うと、企業のビジョンと戦略を、従業員全員の日々の業務に落とし込むことができます。
ビジョンや戦略をきちんと定義している企業は多いと思いますが(ただ、日本の中小企業の8割には戦略がないと言っている人もいます)、それが従業員全員にちゃんと理解し、日々の業務で活かされているかというと、それは難しいことだと思います。
BSCは、企業のビジョンや戦略を、個人の目標と整合させることができます。そのことで、従業員の戦略意識を高揚させることができるのです。
ナビゲーション機能
企業のビジョンを戦略の実行を通して実現するために、BSCでは財務の視点、お客様の視点、業務プロセスの視点、人材と変革の視点の4つの視点に分けて企業経営をモニタリングすることができます。 この4つの視点は、必ずしも上記の組み合わせでなければならないとうわけではないのですが、過去・現在・未来、短期・長期、社外・社内の3つの切り口でバランスを取ります。
経営の過去の実績を評価するのが財務の視点、現在遂行しているのがお客様の視点と業務プロセスの視点、将来への準備となるのが人材と変革の視点です。 また、財務の視点は短期の目標となり、人材と変革の視点は長期の目標となります。 さらに、お客様の視点は外部から見た自社の姿、業務プロセスの視点は社内から見た自社の姿というわけです。
フィードフォワード機能
BSCは、ビジョンを実現するために掲げた戦略を、月次ないし四半期の具体的な目標とアクションプランに落とし込みます。その結果は、月次・四半期の終了後にチェックし、次の月次・四半期の目標とアクションプランの設定に活かしていきます。 この仕組みをフィードフォワードシステムと言い、目標の実現を確実にする効果を発揮します。
まとめ
今回は、BSCの機能を整理しました。 BSCは、企業経営に限らず、医療機関や行政機関、NPOといった非営利機関においても活用することが出来ます。(その場合は、4つの視点として上記に挙げたものではなく、別の視点を設定します。)
何らかの目的を持って活動する組織であれば(組織に限らず個人でも)、活用できるだけの柔軟性、実用性をBSCは持っています。 次回の記事では、BSCの使い方について説明していきます。