先日レビューした「こどもパソコンIchigoJam はじめてのでんし工作」に続いて、リックテレコムさんから献本いただいたもう1冊のIchigoJamの入門書についてもレビューしていきます。
今回は、古旗一浩さんと江崎徳秀さんの共著「みんなのIchigoJam入門」です。
大人も対象にした広範囲な入門書
「こどもパソコンIchigoJam はじめてのでんし工作」は、小学校3〜4年生以上を対象としていて、解説のほとんどがキャラクターどうしの会話調で進められていたり、ひらがなルビが振られていたりするなどしていました。
それと比べると、こちらは一般的な技術書といった体裁。大人でもきちんと読み進めていける内容となっています。
また、中級程度までのBASICの言語解説、ゲームの作例、電子工作と、IchigoJamでできることを広範囲に取り上げていることも特徴です。
IchigoJam自体の組み立てはない
「こどもパソコンIchigoJam はじめてのでんし工作」との大きな違いのもう1つは、IchigoJam自体の組み立ては対象外になっていることです。
先のレビューでも書いたように、IchigoJamには完成品のほか、プリント基板キットも発売されており、IchigoJam本体そのもののハンダ付け工程から体験できるようになっています。
本書では、IchigoJam本体は完成品を購入するか、プリント基板キットの組み立ては完了しているのが前提です。
そのため、ハンダ付けから体験したい場合は、プリント基板キットの説明書を参考にするか、「こどもパソコンIchigoJam はじめてのでんし工作」も購入した方が良いでしょう。
豊富なゲームプログラム作例
本書の表紙にも掲げられていますが、ゲームプログラミングの作例が25本取り上げられています。
実際には、ゲームだけというわけではなく、IchigoJamを複数台接続するためのプログラムや、サウンドグラフィックボードのPanCakeを使用したスクリーンセーバーといった作例も含んでいます。
それぞれの作例は、射撃型、操縦型、思考型、対戦型、学習型、機能応用型といった分類が行われています。
また、実際のプログラムコードのほか、コードの解説や変数表も記述されています。
コードの解説は、初級・中級のBASICの解説を終えた後の章であることから、最低限のものです。
IchigoJamにプログラムコードを打ち込んで動作を確認しつつ、解説とコードを読み比べて、理解を深めるようにすると良いでしょう。
電子工作
電子工作については、LEDの追加、温度センサー、ステッピングモーター、サーボモーターなどについて解説されています。
章を分けて、I2Cインタフェースを使用したパーツの接続にも触れています。
特筆したいのは、温度計の作例において、ケースの作成にも触れていることです。
ケースからは温度センサーとLEDモジュールを表出させ、電池も格納できるので、単体で温度計として使用できる作品になります。
機能的には大したものではないかも知れませんが、IchigoJamを機器の組み込み基板として使用できる可能性を示したものといえます。
こうした分野ではRaspberry Piの独壇場ともいえますが、IchigoJamはBASICでプログラミングでき、安価でもあることから、ちょっとした研究の成果物に使用できるのではないかと思います。
まとめ
先にも述べたように、本書は一般的な技術書の体裁で、IchigoJamの極めて真っ当な入門書といえるでしょう。
中学生以上くらいの方なら、IchigoJam本体とこの書籍を1冊買ってくれば、しばらくは楽しめるのではないかと思います。
リックテレコム様、献本ありがとうございました。