映画「逃げきれた夢」を観てきた

昨日、リバーウォーク北九州にあるシネコンT-JOYで「逃げきれた夢」という映画を観てきました。

主演は光石研、ヒロインの吉本実憂もともに北九州市の出身。オール北九州ロケという映画です。とはいっても、ストーリーの中で明確に出てくる地名は私の住んでいる黒崎だけ。光石さんの地元なんですよね。

なので、三角公園(黒崎中央公園)とか、黒崎のシロヤとか、黒崎中央小学校がしっかり出てきます。もともと、光石さんに当て書きの脚本とのことです。ちなみに、ラストシーンは若松のサンリブ前なのですが、セリフなどで若松という地名が出てくることはありません。それだけに、友人役の松重豊さんの口から「黒崎」とか「ひびしんホール」という名前が出てくるのは、ちょっと唐突な気はしましたが。。

映画館でも、自分の知っている、もしくは知っていそうな場所が出てくると、ひそひそと話し声が聞こえてきました。地元上映ならでは。惜しむらくは黒崎から映画館がなくなって久しいことでしょうか。昔はたくさんあったし、いまでも映画館の名残がビルや駐車場の名前として残っています。

さて、映画自体は特に波瀾万丈のないストーリー。面白いでも、スカッとするでもない。ただ、何か印象が残る。本で言うところの読後感がしっかりある作品といえるでしょうか。

主演の末永(光石研)は記憶を失っていく病を患っていて、それは映画の宣伝の中でも語られているのですが、それがストーリーの中で大きく展開していくわけでもないのです。もちろん軸にはなっている。ヒロインの平賀(吉本実憂)が勤める定食屋の会計を忘れるとかね。

スクリーンにはずっと末永が映っていて、ある意味ロールプレイのようでもある。娘(工藤遥)や妻(坂井真紀)にも慕われていない。勤務先である定時制高校では、ちゃんと教頭の仕事をしていそうだが、生徒との関係が本当に深く築けているかといえば、そんなこともなさそう。

余計なトラブルを起こさないように、万事つつがなく進むように、生きてきた人生。そんな姿が見えてきます。だけど、本当にそれで良いのか。それが主題なのだと思いますが、最後に語られるその結論も末永らしいものということなのでしょう。

さて、娘役を演じた工藤遥。もともとはモーニング娘。の10期メンバーであります。ハスキーボイスのとにかく美少女だった彼女ですが、すっかり役者さんでありまして、いやはや。ステーシーズとかリリウムとかね。

公式サイトに載っていた彼女のコメントが、この映画をシンプルに表現しています。

台本を読んだ後、演じている時、完成した映画を見た後、置かれている状況によってここまで受け取り方が変わるのかと、落ち着かなかった記憶があります。沢山の方に届きますように。

そういう映画だと思います。

この記事を書いた人

井上 研一

株式会社ビビンコ代表取締役、ITエンジニア/経済産業省推進資格ITコーディネータ。AI・IoTに強いITコーディネータとして活動。2018年、株式会社ビビンコを北九州市に創業。IoTソリューションの開発・導入や、画像認識モデルを活用したアプリの開発などを行っている。近著に「使ってわかった AWSのAI」、「ワトソンで体感する人工知能」。日本全国でセミナー・研修講師としての登壇も多数。