来週、ある座談会に出る必要があるのですが、その事前課題として、10年後の目標を整理しておかなければなりません。ITコーディネータ関連なので、ITコーディネータとしての10年後を考えてみようと思うのですが、そこでまず考える必要があるのは、10年後もITコーディネータで居続けるのか?ということと、10年前はどうだったのか?ということです。
10年後もITコーディネータでいるか?
まず、10年後もITコーディネータでいるか?という点については、YESです。その時、ITコーディネータという資格自体が存在するのか?についても、考える必要があるかもしれません。
それは、10年後の世の中が、どのようになっているか?を考えるのと同じことでしょう。25年ほど前に、ITコーディネータがなぜ必要とされたかというと、このような報告が通産省(当時)の部会であったからといいます。
①経営者自身の情報化投資に対する問題意識を高め情報化投資に必要な知識や事例に関する理解を深ること
②問題意識の熟した経営者に対して情報化投資を行う上で良きパートナーとなる ITコーディネータを育成・普及すること
「情報化投資」という言葉は少し古く感じますが、「DX投資」と言い換えれば、そのまま今でも通用する問題意識であり、いまなおITコーディネータが必要とされているのは、情報化がDXと名前を変えたとしても、やはり経営者の問題意識を高め、経営者の良きパートナーが必要とされているという状況があまり変わっていないからでしょう。
ただ、当時の情報化がDXに変化する中で、技術は生成AIの登場を始めとして大きく変わったし、IoTの普及や業界ごとの横串連携の必要性が叫ばれるなど、単なるITから産業の全体的なデジタル化が求められるようになりました。そもそも、25年前には携帯電話はあったけれど、スマートフォンはまだなかったし、今ほど、何でもスマートフォンで片付く世の中になるとは思っていなかった。
そんな中身は変わっているけれど、経営とIT・デジタルの架け橋が必要とされている背景は変わっていないし、それは10年後も同じなのではないかと思います。ただ、10年後も私がITコーディネータで居続けるには、おそらくどんどん変わっていく「中身」の方に私自身が追いついていないといけない。いや、追いつくだけではなくて、少し先を行っていないといけない。それが最低条件だと思います。(おそらく、先を行きすぎてもダメで、その辺のちょうど良いさじ加減がITコーディネータの真骨頂のような気がします。)
そして、ITコーディネータという資格自体はどうか?といえば、それは他人事ではない。客観的に眺める話ではなくて、主観的な話で、自分がITコーディネータとして求められる人材であり続け、そのような人材を増やすことができれば、資格自体はあり続ける。それだけの話でしょう。
10年前はどうだったか?
このことを考えるために、私は自分のブログ(このブログです)の10年前を見ることにしました。ブログを書き続けていると、簡単に10年前が振り返れて良いですね。
10年前の12月(2014年12月)のブログを振り返ると、出てくるのは、これです。
おお、ちょうど10年前(しかも10年前の明日)に自分はITコーディネータになることを決意したのか!
先ほど、25年前の通産省の云々・・・を書いたのも、このブログを読んでみて、そうだ、あの時も同じようにITコーディネータの成り立ちを調べたっけなと思い返したからなのです。
当時の私は、独立して会社は作ったものの、仕事は独立前と代わり映えすることなく、お客様先に常駐して開発をやっていました。それはそれとして良いのですが、何か変えていかないと・・・という中で、ITコーディネータにたどり着いたのでした。
ブログ自体に「なぜ、ITコーディネータになろうと思ったのか」は明確には書いていないのですが、この「何か変えていかないと」の変える方向性が、コンサルティングできる人になることだったのは(当時の記憶として)間違いなくて、そのコンサルティングの仕事のやり方を学ぶ手段として、まさに仕事のやり方が書いてあるプロセスガイドラインを学んで、その模擬実践であるケース研修も受けて、ITコーディネータになるという決意だったのではないかと思います。
その10年前の自分を思い返すと、まさか10年後には自分がプロセスガイドラインを書く1人になっているとは!ですし、ITコーディネータ協会やその他のところで、月に最低1~2回は喋る仕事をしているとも思っていなかった。
そう考えると、10年という期間は、人を大きく変えるし、思ってもみなかったようなことが実現する期間なのです。
もっと先の妄想からバックキャストする
さて、10年後の目標というお題なのですが、ここまでの検討で、下記2つについては言えます。
- 10年後もITコーディネータで居続けること
- 10年後のIT・DX・その後の何かをしっかりキャッチアップして、ITコーディネータとしての存在価値を持っていること
ここまでは良い。さらに、現在の課題から先に伸ばして考えていく式で、いくつかの目標を立てることもできます。
- 会社を維持する
- ノーコードかローコードでしっかり作れるものを1つ習得する
- その他・・・
ただ、こういうのは10年後の話じゃないですね。1~2年後とかの目標でしかない。
思い切って20年後とかを考えて、そこからバックキャストして10年後の目標を立てるくらいがちょうど良いのかもしれません。今から10年後だと55歳くらいで、20年後だと65歳くらい。(そう言えば、住宅ローンが終わるのがその頃か・・・)
そう言えば、ITコーディネータとして普段お付き合いしている諸先輩が、それくらいの年齢の方が多いんですよね。ちょうど、ITコーディネータ資格ができた25年前に働き盛りの40歳くらいだった方たち。その頃に資格を取って、今なお活躍されている方たちが多いのですね。
自分が20年後くらいに、そういう活躍ができていること。それは一つの目標となりますね。
でも、それって具体的にどういうことなのか。世の中も変わっているだろうし。
- 20年後に、今と同じように中小企業は存在するのだろうか?
- もっと新しい働き方、個人の融合のような仕事のやり方になるとしたら、支援先は誰になるのだろう?誰がコンサルティングを求めているのだろう?
- 労働力の流動化が加速すると、企業はよりシステマティックにならざるを得ない。そこではIT・デジタルの出番は多いだろう
- 20年後のコンピュータはどのようなものだろう?
- スマートグラスのようなウェアラブルなものばかりになるのか、それはコンテンツを作る側もそうなのか?(AIの進歩が、今のようなパソコンをなくしてしまうかもしれない・・・)
- だとしたら、ITコーディネータが考えるITシステムはどこにあるのだろう?
- 20年後、日本はどうなっているのだろうか?
- 人口が減るのは間違いないので、その中で起きる様々な困りごとに行政が対応せざるを得ない比重が高まるかもしれない(もしくは、画期的なスタートアップの登場を待つか)
- 移民政策に舵を切ることがあるののか?(言語の問題はAIが解決してくれるだろうが、文化とか社会的な問題は別にあるだろう)
- 人口が減るのは間違いないので、その中で起きる様々な困りごとに行政が対応せざるを得ない比重が高まるかもしれない(もしくは、画期的なスタートアップの登場を待つか)
と、考えるとキリがないのですが、そうした社会の変化に対応していく必要があるのは、ゴーイングコンサーンな組織・制度としては当然として、何か提言していくことで未来作りに参画するような機能がITコーディネータにも必要なのかも・・・と、思えてきました。例えば、中小企業とかIT・デジタルに軸足を置いた提言なら、ITコーディネータとしてできるかもしれない。
10年後(と言わずに、もっと早くでしょうけど・・・)には、そういう役割もしっかり果たしていくITコーディネータ業界であるというのは、良い目標かもしれません。
まとめ
ちょっと話が拡散したので、そろそろ収束させていく必要があります。
ひとまず、このようにまとめてみました。
目標「10年後もITコーディネータとしての存在意義を発揮していること」
そのために・・・
IT・デジタルと経営をつなぐという役割自体は普遍的に必要だが、IT・デジタルはどんどん変わっていくし、経営自体も変わっていくだろう。
- 変化にしっかり追随し、一歩先を行けるような努力を続ける(一歩先であって、先を行きすぎないのがITCの真骨頂)
- 変化に対応するだけでなく、変化を作っていけるような提言機能を持つ
あとは、来週の座談会がどこかで公開されると思いますので、またその時にお伝え致します・・・。