株式会社ビビンコを立ち上げて、まもなく2年です。登記上の本店所在地を北九州市に置いて、私を含むメンバーは全員、東京とか横浜にいるという状況。でも、メイン事業であるIoTの実証実験をやっているのは北九州市。
最初はこの形はなかなか良いな…と思っていたのですが、徐々に限界を感じ始めています。実証実験が進めば進むほど、北九州での作業が増えます。なので、私が月に1度は北九州に出張して作業をしました。ただ、それもCOVID-19の影響で難しくなり、出張頻度はグッと落ちました。そうすると、実証実験の進みが悪くなる。
IoTという技術はITの力でリアルの現場をデジタル化する…というのは、確かにそのとおりです。そのとおりなんだけど、それはIoTがちゃんと導入できた現場の話。まだ、その状況に至っていなかったり、私たちのように実証実験を進めている状況では、現場百遍、リアルの現場で作業してこそ話が前に進みます。
冷静に考えると、それは当たり前のことなんです。IoTでデータを貯める先がクラウドで、アプリもスマートフォンやタブレットかもしれませんが、肝心のIoTのセンサーはハードウェアです。適切な場所に物理的に設置して、WiFIなどのネットワーク接続もいちいちやって…というある意味泥臭い作業が必ず必要になります。
まだ、BtoCモデルのIoTなら、IoTハードウェアは売り切りにして、設置は勝手にやってもらうというスタイルも有りでしょうが、BtoBだとそうもいかない。BtoCの場合、IoTに興味を持つのは今のところアーリーアダプター層で、IoTそのものに興味があるから、自分で設置もできるでしょう。でも、BtoBの場合、目的はコスト削減とかなわけで、別にIoTが使いたいわけではなく、道具として存在するだけ。今までだって、POSレジを買ったらPOSレジ屋さん、ハカリを買ったらハカリ屋さんというように、サービスマンの人が来てくれて設置してくれるのが当たり前の世界です。パソコンだって、各地域にあるOAショップがやってくれたりするかもしれない。
IoTだって、結局のところは同じなんです。街の電気屋さん、地域のOAショップよろしく、地域のIoT屋さん、IoTショップが必要になります。もちろん、IoT業界もクラウドを提供するプラットフォーマーや、センサーなどのハードウェアの製造販売だけを行うメーカーは別として、実際にIoTを使うお客様がいて、そこでソリューションビジネスを展開しようとするなら、リアルに密着する、地域に密着するという形をとる必要があるのではないでしょうか。つまり、少なくともBtoBなIoTはローカルビジネスであるということになります。
そうなると、ある意味で理想としていたチャリンチャリンなビジネスにするのは難しいかもしれないけれど、ローカルビジネスとして、地域産業の底上げを担う・・・。それが、IoTを仕事にするということなのではないか。
そういえば、ずいぶん前に読んだ富山和彦さんの「なぜローカル経済から日本は甦るのか」を思い出しました。
本を読んだ感想として、私は2014年にこんなことを書いています。
日本経済の大部分を占めるローカル経済を向上させる施策として、企業の労働生産性を高めることが挙げられています。その手段であるベストプラクティスアプローチでは、業務改革、ICT導入といった方法を採るわけで、この辺に私及び弊社の活躍できるスペースがある。
この時は株式会社ビビンコではなく、最初に立ち上げたアルティザンエッジ合同会社が「弊社」なんだけど、6年経って、私がUターンして北九州・福岡地域で仕事をすることになるので、再びこの分野にチャレンジするということなのかな・・・と。そんなことを、思っています。