フリーターというのはモラトリアムだ。
自分は、フリーターではないけれど、プロジェクトベースでの契約で仕事をしているので、限りなくフリーターに近い立場だと言えます。
いま契約している会社からは、最初は2日に1回給料をもらっていたくらいです。ふつうの正社員とは随分違うと思います。(いまはさすがに月払いですが。)
実際、いまのような契約で仕事をしている2年間、気持ちはかなりモラトリアムだったなと思うのです。
仕事をしていても、この仕事は仮の仕事であって、一生続けるような仕事ではない…。
そういう思いで仕事をしているので、なかなか身が入らなかったりします。やり慣れた仕事だから…というと言い訳になりますが、それなりに残業して、たまには休日出勤もして、それなりの成果は出せているのだろうと思います。そうでなければ、2年も1つのプロジェクトで契約が続くこともないでしょうから。
でも、ずっとこういう気持ちで仕事をするのは、精神衛生上よくありません。
この本を読んで気づいたのは、自分がいかに「仕事」というものについて真剣に考えているかということです。「真剣」というのは、少し違うか…。仕事というものに期待することが非常に多いのですね。
「やっていて、それが生き甲斐になるような仕事をしたい。生き甲斐になるような仕事に就けば、自分はとても頑張れるはずだ」
著者がフリーターにインタビューして聞いた言葉ですが、まるで自分が言っているような気がしました。
精神構造が同じなんですね、きっと。
それほど強い期待を抱いているにもかかわらず、いま自分がやっている仕事はそうではない。そういう思いが、欲求不満の種になって、「理想の仕事」というものにさらに強い期待を抱く結果になってしまっているのです。
いい加減、そんなモラトリアムからは脱出したい。少しの間なら、モラトリアムも良い経験になると思いますが、あまり長くやるものでもありません。
さて、どうやって脱出するか。この本でも、著者はいくつかのアドバイスを挙げていますが、自身の体験を述べているに過ぎません。その点は少し不満でもありますが、おそらくは誰にでも適用できる答えなどないのだと思います。自身の体験に留めたのは、著者の誠実さゆえでしょう。
答えは自分自身で見つけ出さねばなりません。