思考的にバランスの取れたタイムラインを作る

東北関東大震災があってから、Twitterのタイムラインを眺めるとそれぞれのひとの個性がよく出てくるようになったように思います。
震災に関する捉え方、政府対応への認識、義援金について、計画停電への対応、原発の賛否。各個人に問われる事柄が続々と出てきたから、Twitterでもそうした事柄について、明確に意見を表明したり、オブラートに包んで言ってみたり、普段と変わらぬツイートを続けていたり。本当にそれぞれの反応を見ることができます。

私のタイムラインは、それほど積極的な管理がされている状態ではありません。フォローされればだいたいフォロー返しするし、たまには自分からフォローすることもあります。その程度です。フォローを外されてもそれに気づく術をとっていないので、結果的に片想い状態になっている人も出てきます。
その結果、フォロー/フォロワー比率が少々悪くなってきたり(フォロワーよりフォローが多い状態)すると、フォローの見直しをやってみることもあります。

フォローの見直しと言うのは、要するに自分からフォロー外しをすることです。基本的に、こちらの片想い状態になっている人を外します。片想い状態になるのは、マーケティング目的のフォロワーで、まず相手からフォローされて、こちらからもフォロー返ししたら、数日後に相手からのフォローが外されるという場合になってしまうのです。こちらからのフォローを外すのは、主にそういうケースです。

震災後にやった見直しでは、そういうケースだけでなく、ツイートに現れた個性を見て外すということも少しやりました。それで気づいたのは、タイムラインが自分の意見と同じ人一色に染まってしまうということです。
例えば、私が原発賛成派だとすると原発反対を強く主張している人へのフォローを外すといったことです。そうすると、タイムラインから原発反対派で目に付く人はいなくなって、原発賛成派のタイムラインが出来ます。これを意識的にやっているのならまだ良いのですが、無意識にこうしたタイムラインを作った後、それを眺めてみると「Twitterにいるほとんどの人は原発賛成派だ」という、とんでもない誤解をしてしまうことになります。タイムラインはその人のTwitter体験のほぼすべてであるので、そういう錯覚に陥りやすいのです。

それに気づいてから、自分の意見と異なる人を意識的にタイムラインに残すようにしています。そういう人から出てくる意見はタイムラインに異なる色を与えるし、目立ちます。私の思考の偏りに気づき、よりバランスの取れた考えを持つために、バランスの取れたタイムラインを持つことは有用だと思います。

この記事を書いた人

井上 研一

株式会社ビビンコ代表取締役、ITエンジニア/経済産業省推進資格ITコーディネータ。AI・IoTに強いITコーディネータとして活動。画像認識モデルを活用したアプリや、生成AIを業務に組み込むためのサービス「Gen2Go」の開発などを行っている。近著に「使ってわかった AWSのAI」、「ワトソンで体感する人工知能」。日本全国でセミナー・研修講師としての登壇も多数。