先日「AIとIoTで日本を変えよう!」を考える、という記事を書きました。
読み返してみると、もう少し言いたいことがあるなと感じたので、それを書いておこうと思います。
AIとIoTを活用するアイディアをどう見つけるか
先日の記事では、AIとIoTを活用するアイディアをIT屋が出すのは無理じゃないかといったことを書きました。だから、中小企業の経営者などリアルビジネスを実際にやっている人に、いまできることを正しく伝えるのが重要ではないかという話につなげたのですが、それだけでは不十分な気もしています。
そこで、先日も挙げたNECマイコン部隊の話を参考にしたいと思います。
月に二〇〇台程度と踏んでいたTK―80だったが、これが予想を超えるペースで、期待していなかった人たちにまで売れはじめた。あわてて月産台数を引き上げて、ようやく月に一〇〇〇台を超える需要に応えられるようになった。電気製品やさまざまな分野の機械に組み込んで使ってもらうため、まずマイクロコンピューターの感覚をつかんでもらおうと作ってみたTK―80だったが、買い求めた人の中からは、このシステムを自分で所有して自由に使うことのできるコンピューターとして使う人たちが現われた。
マイクロコンピューターを使って自分だけのコンピューターを作ろうとするマニアたちが、アメリカに存在していることを、後藤たちはすでに知っていた。新しい部署が設立された一九七六(昭和五十一)年の五月、マイクロコンピューターにかかわる新しい動きをつかもうと、渡辺和也は日本情報処理開発協会の視察団に加わり、二週間にわたってアメリカに出張してきた。
渡辺の加わったグループは大手の電機メーカーや半導体企業を訪れる代わり、キット式のシステムを出しはじめたばかりの小さな会社や、マニアたちのクラブを選んで訪ねていった。
パソコン創世記(著・富田倫生)からの引用ですが、渡辺氏や後藤氏といったNECの面々は自分たちだけでは考えつかないマイコン(マイクロコンピュータ)の用途を知るために、米国に視察に行きます。そこで訪れたのはいまでいうベンチャー企業や、先進的なマニアたちのところでした。後に西和彦氏が雑誌「アスキー」を創刊しますが、ここでも米国や日本のマニアたちの取り組みが記事になっています。
先日の記事では「真の活用例はホビーの発展系として生まれる」と書きましたが、だとすれば、こうした先進事例の収集が重要になることはいうまでもありません。もちろん、収集するだけではなく、私自身も良きアマチュアリズムを持って、自ら生み出すこともやっていきたいと思います。
発想のフレームワークをつくる
事例収集だけではなく、発想を生み出すためのフレームワークも必要ではないでしょうか。
例えば、IoTキャンバスというものは既に存在しています。
IoTとAIは切っても切り離せないものなので、このIoTキャンバスを使ってもそのままAI+IoTの領域まで検討可能だと思います。
私自身も、去年の1月に行ったセミナーの資料をたたき台に、2月に「活用法と変化のマトリクス」というものを作って、ブログにも書きました。
去年の段階では思いつきレベルで終わってしまったのですが、これをもう少し深めて考えてみるのも良いかもしれないと思っています。
できる技術があるのになぜやらないのか
昨年のSoftbank Worldというイベントでの東京大学・松尾豊氏の講演を見ました。YouTubeにも公開されているので、ご覧になることをおすすめします。特に後半のところでビジネス活用にまで話が及んでいるので必見なのですが、その中で「できる技術はあるのになぜやらないのか」という熱い思いが吐露されています。
そうなんです。できるんです。既に。
ただ、とはいっても、(1)何ができるか分からない、(2)何をすれば良いかわからない、(3)どうやってやるか分からない、というのが実情であることは間違いありません。
だから、私がやるべきことはこの3つのことをきちんとお伝えして、松尾氏のような思いを実現することではないかと考えているのです。
それが、今年(から数年かけて?)やりたいことなのです。